学長メッセージ

学長メッセージ

 

 山梨英和大学は2002年に開学し、今年で15周年を迎えた一学部(人間文化学部人間文化学科)と大学院人間文化研究科臨床心理学専攻から成る小規模な大学です。しかし、前身である山梨英和女学校は1889年に創立されましたので、あと2年で130周年を迎えます。

 

 山梨英和大学には「未来を拓く3つのキーワード」、すなわち「こころ」、「グローバル」、「インターネット」の3つがあり、この3つのキーワードに基づいて3つの領域からなるカリキュラムを展開しています。
1つ目の領域はサイコロジカル・サービス、2つ目の領域はグローバル・スタディーズ、3つ目の領域はメディア・サイエンスです。また、大学院人間文化研究科臨床心理専攻は山梨県唯一の指定大学院であり、山梨県で活躍する臨床心理士の約6割は本学の出身者であり、学内の心理臨床センターに加え、学外の実習機関が充実しています。また、臨床心理士の資格を取得した本大学院修了生の就職率は100パーセントです。

 

 このように小規模ながらも充実したカリキュラムを展開している所以は、長い歴史と伝統の中で培われて来たキリスト教精神に基づく3つの校訓(①敬神、②愛人、③自修)にあると思います。この3つの校訓はいずれも崇高で素晴らしい言葉なのですが、今回はこの中から学生生活に係わりの深い3つめの「自修」ということについて考えてみたいと思います。自修ということは、与えられた問題を解くのではなく、自らの心と頭で学び問い、自らを高めて行くということです。自らの心と頭とで学び問い、自らを高める方法はいろいろあると思いますが、私は大学生活の中での一つの方法は「古典を少しでも多く読む」ということではないかと思っています。しかし、聖書をはじめとする古典の多くはとっつきにくく、分かりにくいのではないでしょうか。
 現代に生きる皆さんの周りにはスマホなどもありますから、昔と比べると比較にならないくらいの沢山の刺激に満ちた知識(情報)が溢れていると思います。しかし、そういう刺激に満ちた知識(情報)の多くはすぐに過ぎ去り、忘れられていくものが多いのではないでしょうか。このように現在はすぐに役立ちそうな刺激的なものが満ち溢れていますが、実はすぐ役に立つものは、すぐ役に立たなくなることが多いのです。しかし、長い時という試練を乗り越えて来たものが「古典」であり、時代を超えて人々の心を深く捉えてきたものに他なりません。古典はとっつきにくく、分かりにくいものですが、聖書に「だれであれ、求めるものは受け、捜すものは見つけ出し、たたく者には開かれます」(マタイ7章・8節)とあるように、真剣に対峙すればいつか分かる時が必ず訪れます。いずれにしても、自分の心と頭で考えることが「自修」であり、古典を読むことはその一つの方法ではないかと思います。しかし、「自修」は独りよがりの「自習(独学)」とは違います。「自修」とは自らの心と頭で学び問うたことを、ゼミナールをはじめ学生生活のさまざまな場で先生や学友たちと議論し合いながら、自らを高めて行くことです。その意味で、大学生活は自らの心と頭で学び問いながら、自らの問題を創るべく先生や学友たちと切磋琢磨する場であり、別言するならば「大学生活における自修」とは、先生や学友たちとお互いの心に火を付け合う「人生の道場」であると共に、「青春の劇場」であると思います。

 

 このような「人生の道場」と「青春の劇場」の中で、「自修」を通じて皆さんが大きく成長されんことを願って止みません。

山梨英和大学 学長 菊野 一雄

 

 

 

 

プロフィール

1942年8月16日生(父の赴任先の台湾で生まれる)

1965年3月 慶應義塾大学商学部卒業

1970年3月 慶應義塾大学大学院商学研究科博士課程修了

1970年4月 武蔵大学経済学部専任講師

その後、立教大学経済学部教授、跡見学園女子大学マネジメント学部教授、立教セカンドステージ大学講師などを経て、20174月より現職

1988年9月 経済学博士(立教大学)

 

 

専門分野

 労働経済学
 労働哲学
 人的資源管理論
 経営組織論

 

 

主要著書

『労務管理の基礎理論』(泉文堂)

『トリパリウムと労働』(慶應通信)

『現代社会と労働』(慶應義塾大学出版会)

この他、単著、編著、共著、論文など多数