マラウイ通信

マラウイ通信 第8号

マラウイ通信
第8号 2013年5月15日

山梨英和中学校・高等学校 社会科 吉野 華恵
J I C A青年海外協力隊 平成23年度 第3次隊
村落開発普及員 カタベイ県コミュニティ開発局所属


キリマンジャロの頂上の氷河は温暖化のために年々溶けているそうだ。
その美しさに、酸欠でもうろうとした頭も一瞬すっきりする。

 

 みなさん、こんにちは。富士山が世界遺産に登録されたそうですね。山梨はさぞかし賑わっていることと思います。マラウイにもムランジェ山という標高3,002mの雄大な山があり、私もこれまでに何回か登ったことがあるのですが、登山家を惹きつける要素がいっぱいの、実におもしろい山です。日本の山では危険な箇所には鎖や足がかりが設置されていますが、ムランジェ山にはそのようなものはありません。野性味あふれる山登りが体験できる一方で危険も伴います。マラウイには観光資源は豊富にあるのですが、残念ながらそれをうまくアピールすることができておらず、マラウイ人の山岳ガイドでさえもその辺りにぽいぽいとゴミを捨てている現状です。
さて、2月下旬にマラウイの隊員仲間とタンザニアのキリマンジャロ山に登ってきました。5,891mの壁は想像以上に大変で、4,500mを過ぎた辺りから息が上がり始め、5,000mを過ぎる頃には10歩歩いてはしんどくてたまらず立ち止まるというような状態でした。それでも、なんとか手を引っ張ってもらったり背中を押してもらったりして頂上にたどり着くことができました。下山直後はもう2度と登るものかと思いましたが、最近は体を鍛え直してもう1度登ってみたいなとも思っています。
マラウイ隊員が外国に行くと感じること-それは、マラウイがいかに近隣諸国から立ち遅れているかということです。まず、キリマンジャロの空港の駐車場で自動遮断機があることに驚き、街中でバイクの通行量の多さに驚き、スーパーマーケットで品ぞろえの豊富さに驚き、といった具合です。「こんなに発展したところで支援活動をする方が大変そうだね。マラウイで良かったね」と負け惜しみのようにマラウイ隊員と話をしていますが、タンザニア隊員に聞くと貧富の差が激しく、やはり村落部などで支援は必要とされているそうです。とは言うものの、新鮮な魚介類が手に入るタンザニアはやはり魅力的でした。

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 さて、今回は農民の現金収入向上活動の支援活動についてお伝えしたいと思います。
いろんな形での支援がありますが、マラウイで1年暮らしてみて感じることは、やはり、お金を自分たちで稼ぐことで人々が元気になっていくということでした。そこで、メインターゲットをファーマーズグループにしぼり、ファイナンシャルリテラシーやビジネスマネジメントのトレーニングを行っています。

お金を貯める習慣をつけよう

マラウイの村落部に住む多くの人たちはお金を貯める習慣がありません。現金が手に入るとそれをすぐに使ってしまいます。そこで、私の所属しているコミュニティ開発局ではファーマーズグループ内で貯蓄とローンをすることを勧めて指導を行っています。例えば、毎週ミーティングに参加するたびにMK200(マラウイクワチャ。日本円にして約50円)ずつ集めよう、そして貯蓄額に応じて個人的にスモールビジネスを始める資金や病気・子どもの学費などの出費に備えて貸し出しができるようにしよう、というわけです。

例えば、右の写真のグループはお店や病院があるチンテチェの街から7kmほど離れた村落部で活動しています。道は坂道の悪路で、雨季には雨水が洪水のように道を浸し、街までちょっと用を足しに出るのも一苦労という場所です。
昨年の今頃、グループのメンバーの1人が私のもとに来て「ぜひうちの村に来てほしい」と言われ訪問したのが最初のきっかけです。その時に、この村に孤児がかなり多いことを知りました。HIV/AIDS陽性者の割合が高く、そのために孤児が多いそうです。このグループは相互扶助をグループの結成目的の1つとしており、時々グループの共同菜園からとれた野菜を孤児に持たせて帰らせるというような活動もしているそうです。その頃、ファーマーズグループを訪問するたびに、「で、あなたは何をくれるの?」とモノをねだられていた私は、そのメンバーから「私たちはモノではなく技術を求めています。グループが自立するための技術です。どうすれば収入を向上させることができるのか、それをトレーニングで身につけたいのです。」という言葉を聞き、この僻地のグループを支援したいと心から思いました。現在、このグループは私が最も力を入れて支援しているグループの1つです。
まず、毎週決まっただけの額をためて貯蓄を始めようというところから始め、1メンバーにつき毎週MK200ずつ貯めていきました。貯蓄を始めて8か月で、現在1人当たりの貯蓄額はMK7,000にも上っています。その実績が認められて、先日、政府系組織からトレーニングを実施するための補助金MK200,000が下りることが決定しました。これからその補助金を用いてビジネスマネジメントやファイナンシャルリテラシーのトレーニングを行い、養豚をグループビジネスとして始めていきます。グループが成熟するまでにはまだまだ時間がかかりますが、これからも彼らの活動を支えていきたいと思っています。

小切手を受け取り、メンバーに提示するグループのチェアパーソン。MK200,000(約50,000円)は彼らにとって大金だ。

嬉しさのあまり踊り出す人々。喜ぶ彼らの姿を見るのは1番嬉しい。と共に、グループが大きくなると衝突も付き物なので、気が抜けない。

地元の特産物を使って商品を開発しよう~Power Drink編

地元の特産物を使って何かできないか…、HIV/AIDS陽性者グループのメンバーと考えてできた商品がこれです。任地のカタベイ県はレモン・オレンジ・パパイヤ・マンゴーなど、果樹がさかんに生い茂っています。そこで、レモンを使ってジュースを作ることにしました。ただのジュースではありません。ガーリックやジンジャーが絞り込まれている「パワードリンク」です。栄養価が高いことを売りにしています。

マラウイアンは簡単に木から果実を獲っている実際にやってみると実に大変であることに気付く。私は木登りもできないし、木の棒もうまく使えない。1個レモンを収穫しただけで肩が凝ってしまった。

獲りたての新鮮なレモンを使う。農薬を使っていないオーガニックレモンだ。
大きめのレモンを使えば18個で2Lのパワードリンクを作ることができる。

機械などは使わず全部手作業で行う。大分県の一村一品運動のように、まずは細々とでも良質のものを作り続けることが必要だ。

どんなふうに貼り付けをすればきれいに見えるかを指導する。ゆがみなくきれいに貼り付けることが苦手な人もいる。

メンバーと一緒に材料費やボトル代などの原価を計算し、商品価格を設定する。まずは、トライアル価格で500mlのボトルを1本MK100で売ることにした。

現在、今月下旬に開かれるトレードフェアで販売するための準備に奔走している。レモンを絞った後の皮を使ってレモンピールを作って商品化することも検討している。

ビジネスの世界に身を置いたことのない私にとって、今やっている仕事は慣れないものですが、新鮮でおもしろいものです。高校時代の部活動の経験や大学時代のアルバイトの経験が今になって生きています。なんでもやっておくものだなあと、もっと学生時代にいろんなことをしておけばよかったなあと、つくづく感じています。

マラウイ通信 第7号

第7号 2013年1月16日

山梨英和中学校高等学校 社会科 吉野 華恵
JICA青年海外協力隊 平成23年度第3次隊
村落開発普及員 カタベイ県コミュニティ開発局所属


マラウイ湖から見た初日の出。既に地元の親子が漁をしていた。

 

みなさん、明けましておめでとうございます。2013年が始まりましたね。さまざまな思いを胸に新しい年を迎えられたことと思います。私は人生初の、家族と離れて迎えるお正月でした。隊員仲間が任地に遊びに来てくれましたので、みんなで年越しそばを作ったり、地元の主食キャッサバ粉をお餅にみたてて、友人が日本から送ってくれた小豆を使っておぜんざいを作ったり、近くの湖に初日の出を見に行ったりしてささやかに新年を祝いました。マラウイのクリスマス・お正月は地味なもので、いつもより少し街に人出が多いくらいで、元旦から皆いつもと同じように畑仕事をしています。

   
一般のマラウィアンは新年といってもいつもと違うのは鶏をつぶすぐらいだ。私もウォッチマンに
手伝ってもらって、初めて鶏を絞めてみた。生命のはかなさと尊さに、おごそかな気持ちになる。

 

日本からの手紙 第1弾到着

8月から続々と届き始めました。マラウイの子どもたちは日本からの手紙をとても心待ちにしています。手紙をすぐに開封してむさぼるように読む子、その場で開封しないで大切に持ち帰る子、「英語を教えて!」と言って私の家に押しかけて2通目を書く子、どの子もみんなとても嬉しそうです。まだ手紙を受け取っていない子どもは、私を見かけるたびに、「手紙まだ届いていないの?」と聞いてきます。自分の住んでいる村から外に出たことのない子どもにとっては、日本からの手紙は外部の世界との扉です。返信を何通か預かっています。近々郵便局に行って出してきますので、もうしばらくお待ちください。また、まだ手紙を書いていない人がいましたらすぐに書いて送ってくれると嬉しいです!

  

  

HIV/AIDS陽性者のための生活改善技法トレーニング

手探り状態だった最初の6か月が過ぎ、8月にどうにかこうにか活動の指針を立てました。今手がけている活動内容は、大きくまとめると以下の3つです。

①農民グループの貯蓄とビジネスマネジメントを支援する
②栄養改善を含む生活改善技法トレーニングを実施する
③図書室建設プロジェクト

 この2~3か月は、②の生活改善技法トレーニングを実施するための準備に奔走していました。なかなか予算のやりくりがつかずに実施までに幾度も壁にぶつかりましたが、先月ようやく、担当エリアにある7つのHIV/AIDS陽性者グループ(以下、サポートグループ)から各5名ずつ、計35名を対象に5日間のトレーニングを実施することができました。目的は、①病気に関する基本的知識を身につけ自然治癒力を高める ②栄養改善 ③家庭菜園の勧め ④在宅介護 ⑤演劇ワークショップと子どもたちへの性教育 の5点からHIV/AIDS陽性者の生活の質を高めること、また、社会とのコミットメントを強めることです。各分野の専門家や優れた技術・知識を持つリードファーマーら8名を講師として招いて実施しました。
特に、このトレーニングではこれまで学ぶ機会のなかったメンバーにも門戸を開き、生活技法を非識字層へも広めることにも留意しました。マラウイのトレーニングでは、講師がただマニュアル本を読み上げて板書し、受講生がそれを書き写す、といった形のものが多いのですが、今回は非識字層もいるため、デモンストレーションやロールプレイなどを取り入れた実用的な講義内容にしてもらうことを心がけました。

 以下は5日間のスケジュールと講義内容・講師からのコメントです。少し長いのですが、具体的な活動の様子がわかってもらえるのではないかと思いますので載せておきます。報告書の転用ですので、説明不足だったり固い文章だったりするかもしれませんが、ご容赦ください。
途中で「アローアンス」(日当)という言葉が何回か出てきますが、最初にそれについて説明をしておきたいと思います。マラウイではトレーニングやミーティングを開く時には、主催者側から参加者にお金や物が支払われるという慣習があります。日本だとトレーニングを受ける場合、受講生がお金を出してそれを学びに行くのが普通ですが、ここでは逆の考え方です。農作業をする時間を「とられる」のでその分の日当をくれ、というわけです。これはファーマーに限らず、毎月お給料をもらっている公務員であっても、アローアンスが出ない会議には出ないという人が多いのです。
このトレーニングの前にスタッフミーティングを開き、そのことについて話し合いました。必ずやアローアンスについての質問が出るだろうと思い、最初に「参加者にとっては知識や技術が最大のアローアンスです。主催者側はこのトレーニング実施のためにファーマーの送迎のための車や文房具代を負担するので、みなさんの側からも昼食のためのシマ(主食となる粉)や簡単に手に入る畑の野菜だけは分担して持ってきてください」とお願いしました。しかし、そのすぐ後で「質問があるんですけど…、アローアンスは出ないのですか」との声が出て、人々の意識を変えるのは容易ではないなと実感しました。

☆講義内容と講師からのコメント

①  HIV/AIDSについての基本的な知識
  講師: チンテチェ地方病院のメディカルアシスタント長

☆講義内容
-HIV/AIDSの定義
-HIV/AIDSはどのように感染するのか
-HIV/AIDSの感染を防ぐために気を付けること~コンドームの使い方
-HIVウイルスがどのように体を攻撃するのか
-HIV/AIDS感染の兆候と症状
-マラウイにおけるHIV/AIDS感染の状況

☆講師より~講義の感想・受講生の反応など(講師から聴き取った内容を略述)
 とても良いトレーニングだったと思う。受講生たちはみな積極的に参加してくれた。文字の読み書きができない人もいたが、自分はワークショップの仕方に慣れているので、問題なかった。今回はごく基本的な知識を全員 に周知するということが目的だったので、ほとんどの人がHIVウイルスがどのような経路で感染するかは知っていたが、中には握手やハグをしただけで感染すると思い込んでいる人もいた。また、HIVウイルスがどのように身体にダメージを与えるかについては、ほとんどの人が知らなかった。患者は、一部しか知識を持っていないので、トレーニングが必要だと感じた。

② How to strengthen spontaneous cure power
  講師: チンテチェホメオパシークリニックのスタッフ

☆講義内容
– ‘ホメオパシー’の意味とその歴史
– 自然治癒力って何?
– 自然治癒力を高めるためにできること
– PC1とはどのような薬か? どのように作りどのように使用するか
– PC1が体の中でどのように働くか

☆講師より~講義の感想・受講生の反応など(講師から聴き取った内容を略述)
受講生たちがアクティブで、参加型のワークショップができた。最後に、話したことの内容からいくつか質問をしてみたが、それに対して正しく答えることができていた。また、トレーニング終了後、少なくとも4人の受講生がクリニックに来てくれた。彼らの体調が今後どのように推移していくか、フォローアップを続けていきたい。

③ 6大食品群について
  講師: カタベイ県農業局の栄養担当スタッフ

☆講義内容
  - カタベイ県でとれるローカルフード
– 身の回りの食材を6大食品群に分類してみよう
– 毎食6大食品群を摂ることの大切さ
– 栄養とHIV/AIDSの関連性

☆講師より~講義の感想・受講生の反応など(講師から聴き取った内容を略述)
  -  受講生が学びやすいように机の配置などがよく考えられて環境設定されていた。
  -  丸一日を栄養改善指導に使ったわけだが、調理実習はすべての計画された内容を
カバーするのにとても時間が
かかるので、十分ではなかった。しかし、なんとか時間
内に終えることができた。

  -  しかしながら、自分たちの貯えのなかからランチコントリビューション(注:昼食の一部
の材料を負担すること)を
用意しなければならなかったことについてはファーマーたちに
とっては抵抗感があったようだ。

④ 栄養価の高い食事の作り方~ハーブ・モリンガ・にんにく・しょうが, etc.
   講師: チンテチェサポートグループのコーディネーター

☆講義内容
  - HIVウイルスに感染後、避けるべき食品
– 別の病気に感染した時に摂るべき食品
– 重篤な病人にどのような食事を用意すればよいか
– ハーブの効用と食事への使い方
– ‘パワードリンク(にんにく・しょうが・レモンを用いたジュース)’の作り方

☆講師より~講義の感想・受講生の反応など(講師から聴き取った内容を略述)
トレーニング後に5つのサポートグループを訪問して話を聞く機会があったが、みなどの授業もとても為になったと言っていた。私自身も他の授業にも出てみたが、マニュア(自然肥料)についてもっと知りたいと思ったし、マニュア担当講師と一緒に各サポートグループを回ってその作り方を広めたいと思っている。スタッフミーティングの時はいくつかのグループからアローアンスが出ないのかという声があったが、実際始まってみたら何も出なくてもみんなとても一生懸命に参加していた。私の担当分野では、ガーリックとジンジャーについての興味関心が高かった。また、今回はハーブの効用について話をする時間が持てなかったので、農業普及員と一緒に次の機会を作っていきたい。

⑤  調理実習
  講師: チンテチェ農業普及所普及員

☆講義内容
  -メニュー…
①パワードリンク
②グランドナッツとモリンガ(栄養価の高い葉っぱ。お茶みたいな匂いがする)入りガイワ
(胚芽つきメイズ粉)のおかゆ
③食欲増進のために~絞ったレモンとハーブを使った魚料理
④地元の野菜を使ってビタミンを失わないように調理してみよう

☆講師より~講義の感想・受講生の反応など(講師から聴き取った内容を略述)
受講生たちの反応について-今まで6大食品群をバランスよく取り入れた献立についてよく知らなかったので、今回学ぶことができて嬉しそうだったように思う。特に、モリンガ・ガーリック・ジンジャーなどになじみが薄いので、その調理法にとても興味を持っていたようだ。調理時間が短時間で済むことにも感心していた。また、今回は男性の参加者が半分弱いたが、男性も 家事に参加することを私たちは呼びかけている。その意味で、今回のデモンストレーションでは男性も積極的に参加しており、男女共同参画を促すきっかけにもなったのではと思う。
次なるチャレンジは、彼らが今回学んだことを日常の食生活に取り入れることだ。グループや家庭に戻った後のフォローアップが必要だ。それをコミュニティ開発局でやっていってほしい。

⑥ 栄養価の高い野菜を家庭菜園で育ててみよう
   講師: カタベイ県農業局のクロップ担当スタッフ

☆講義内容
 - しょうがとにんにくの栽培方法
~種の選定 / 幼苗の管理 / 土壌の準備 / 植替えの時期や直播きと根覆い /水やり / 植える間隔 /
化学肥料や自然肥料の作り方と与え方(しかし、自然肥料に重きを置く) / 雑草の除去 /
病気のコントロール / 収穫 /選定方法 / 貯蔵とマーケティング

☆講師より~講義の感想・受講生の反応など(講師から聴き取った内容を略述)
受講生たちがフィールドに戻った時に使える知識・技術を付与するためには、実演の時間は講義の時間よりも多くとるべきである。実演のための時間は今回短かった。しかし、タイムスケジュールはうまく管理されていた。今後、コミュニティ開発局がフォローアップをすることを望む。そうでないと、ファーマーたちはただトレーニングに参加したことに満足して何もしないだろう。次回もしトレーニングができるならば、人参とターメリックについて説明したい。

⑦ 自然肥料の作り方 ⑧自然肥料の作り方・にんにくとしょうがの植え方の実演
  講師: 地元のリードファーマー

☆講義内容
   - Bokashi, Liquid Manure, Maburungaってどんな自然肥料?
- それらをどのように作るか
- にんにく・しょうがの植え方・育て方のこつ
- 自然肥料を実際に作ってみよう

☆講師より~講義の感想・受講生の反応など(講師から聴き取った内容を略述)
もう1度おさらいすれば、今回初めて知った知識や技術が確実に彼らのものになるだろう。ファーマーたちは勤勉ではないことが多いが、毎年毎回マニュアを作る努力を続ければ、4年後には化学肥料が一切いらない土壌ができあがる。ファーマーたちは化学肥料を買うお金がないので、自然肥料の作り方を覚えれば生産量がアップし、助かるだろう。

⑨ ⑩ ⑪ 在宅看護・介護の仕方と実用的なレッスン
       講師: チンテチェ地方病院のメディカルアシスタント長

 ☆講義内容
  - 家の整理整頓
– 患者の入浴方法
– 慢性患者の口内ケア
– 床ずれを除去する
– 患者への食餌
– 入浴・口内ケア・床ずれの除去を、介助役と患者役に分かれてロールプレイ

☆講師より~講義の感想・受講生の反応など(講師から聴き取った内容を略述)
午後の時間帯にケアギバー役と患者役に分かれてロールプレイを行ったが、見るのと実際にやってみるのとは違うので、実際に即した練習を入れたのが良かったと思う。講義のなかで、歯ブラシの代わりに木の小枝、歯磨き粉の代わりに塩を使うなど、地元でお金をかけずに手に入る素材を使うことを勧めた。
明日から使える知識・技術を与えられたと思う。今回1点だけ難点を挙げるとすれば、アローアンスについてだ。普通、私たちが病院でこういうワークショップを開くときは日当6,000~7,000MK出る。今回は「ボランティア」として講師を勤めたが、次回は頼まれてもやらないだろう。

⑫ 若者にsafer sexについてどう教えるか ⑬効果的な演劇の仕方
  講師: カタベイ県病院のHealth Surveilance Assistant

☆講義内容
  -  性についての迷信
–  数グループに分かれて、若者から出されそうな質問を考える。また、それに対して適した回答を考える。
–  効果的な演劇の仕方~声・動作・顔の表情・メッセージ性・衣装
–  3グループに分かれ、学校で演じるための短いシナリオを考える
–  発表と評価

☆講師より~講義の感想・受講生の反応など(講師から聴き取った内容を略述)
 とても楽しかった。性について考えたり演じたりするとき、自分をさらけ出さないとできないものだが、受講生たちはみな積極的で、私が出した質問に対して参加者の中から正答が出てくるので私が答える必要がなかった。HIV/AIDSとSafer Sexは非常に関連性が高いので、今回のトレーニングで組み込むことができて良かったと思う。ショートドラマを作るエクササイズは時間が短かったので、2~3日あればもっと充実した内容のものが作れたと思う。しかしながら、受講生が考えた「HIV/AIDSのために両親を亡くした子どもが学校で差別を受ける」という内容や、「学費を捻出するために売春しHIV/IADSに感染する少女」を主人公としたドラマなどは学校で演じるのに適していると思う。

 

 

 ☆目指すのは使える知識

事前に各講師に5~10問程度のYes/Noクエスチョン、もしくは選択肢のある質問を考えておいてもらい、講義内容に関する計31問のミニテストをトレーニングの前後で2回行いました。結果は以下の表のとおりです。事前テストでTotal Scoreの平均が59.6%であったものが、トレーニングを受けた後の事後テストでは平均72.6%に上昇しています。しかし、これで終わらせずに、受講生がフィールドに戻ってからも使える知識にしていくことが大切です。そのために、今月から来月にかけてはそのフォローアップのために、各サポートグループのミーティングを巡回する予定です。

 

 

 

難しかったのは、非識字層のテストの仕方でした。まったく文字の読み書きができない受講生に対しては、カウンターパートが質問文を読み上げ、私が文字の書けない人の横に付いて代書をしましたが、数名の受講生はテストに解答することができませんでした。テスト形式に工夫が必要であることを痛感しました。

 

 

 

☆人のモチベーションをあげるには…どうしたらいい?

  農業普及所職員や県農業局職員、講師陣からの多大なサポートに助けられたトレーニングでした。予算が限られていましたが、労を惜しまずにスタッフミーティングや調理実習の試作に駆けつけてきてくれたスタッフたちに感謝しています。また、サポートグループからのランチコントリビューションについては、スタッフミーティングの際には難色を示していたグループも、最終的には快く引き受けてくれました。とりわけ、常日頃から私が顔を出しているグループの受講生は実に協力的でした。

  残念だったことは、カウンターパートと一緒に1つのものを創りあげたという実感が得られなかったことでした。カウンターパートはトレーニングの前週にはアローアンスの出る他の会議に泊りがけで行ってしまい、トレーニングの2日目と3日目にはやはり他の会議に参加してしまい不在でした。私にとってはこのトレーニングは私たちの1年間の集大成のようなものであり、HIV/AIDS陽性者のためのトレーニングであると同時に、カウンターパートにトレーニングの企画・運営の仕方を学んでもらうためのものでもあったのですが、そのことを十分に理解してもらうことができませんでした。残念ながら、彼女の意識が人任せであったことは否めません。どうすればカウンターパートのモチベーションをあげることができるのか…、悩ましい問題です。

  苦労の多かったトレーニングでしたが、受講生たちの熱心に授業を聴く姿や、雨期入りの忙しい時期であるにも関わらず毎日を楽しみに参加してくれた姿を思い出すと、実施できて本当に良かったと思います。このトレーニングは、HIV/AIDS陽性者の生活の質を高めるための知識を身につけるというメイン目的の他に、社会とのコミットメントを強めるというサブ目的もあります。次なるチャレンジとして、5日目の「講義⑫ How to teach children about safer sex」と「講義⑬ The technique of making/playing drama effectively」で学んでもらったことを生かして、サポートグループを学校での啓蒙活動に巻き込みたいと考えています。

マラウイに来て1年がたちました。ここまで大過なく過ごせたのも、日本で応援してくださっているみなさんや、貧しいながらも幸せそうな地元のマラウイアン、それから志高く各地でがんばっている隊員仲間らのおかげです。マラウイにいられるのもあと1年。やりたいことはたくさんあるのにうまく進まずにじれったい気持ちや、根無し草のような孤独感を味わったりすることもあるのですが、初心に戻ってまた新たな気持ちでがんばっていきたいと思います。そして、このマラウイ通信ももっと頻繁に発行していきたいと思っていますので、長らく更新がストップした時は是非日本から催促してください! 今年もよろしくお願いします。

マラウイ通信 第6号

第6号 2012年7月28日

山梨英和中学校高等学校 社会科 吉野 華恵
JICA青年海外協力隊 平成23年度第3次隊

私を見かけてKARATEのポーズをとる子どもたち。アジア人はみな空手ができると思っている。

 第5号で「また近いうちに」と書きながら、あっという間に3か月がたってしまいました。生来の筆不精はマラウイに来ても治りません。ただ、心のどこかにひっかかるものが常にあって、それがマラウイ通信の更新ができていないことでした。この通信は日本にいる生徒や卒業生のみなさん・先生や職員の方々・私の活動を応援してくれている友人知人に向けて発信していますが、同時に私自身が自分の活動を振り返るためのツールにもなっているようです。

 さて、新しい年度が始まり、みなさんにとってもあっという間の3か月だったのではないでしょうか。出国の時には冬だった日本も、既に真夏で連日猛暑が続いているそうですね。ここマラウイは乾季の真っただ中を迎えています。雨がほとんど降らず、1年を通して最も寒い時期です。意外に思われるかもしれませんが、地域によっては吐く息が白くなるほどです。マラウイ南部に住んでいる私の友人は、夜は長袖シャツにパーカー、更にその上にもう1枚上着をはおって靴下を2枚重ねし、毛布にくるまっても、寒くて寝られないと言っていました。湖岸沿いに住む私の場合、そこまで寒くはないのですが、それでも今までに2晩ほど「こたつが欲しいなあ」と思った夜がありました。マラウイ人もダウンジャケットを着て、「寒い寒い」と言っています。

★活動編 ~ 模索の4か月

 この4ヵ月は活動の方向性を探るために、手当たり次第に駆け回った4か月でした。ファーマーズグループがどこにどれだけあるのか、まったくわからないというゼロからのスタートです。今までこの地域の担当者は一体何をしてきたのかと、文句の1つも言いたくなる時もありましたが、文化・風土が違えば仕事のやり方も違うのは当然のこと。当分は周りを観察し、現状を知ることに専念しようと思い直しました。

 私がマラウイに来る前に決めたことが2つあります。1つは困難なことに出会ったときにそれでも何かしようと試みること、もう1つは人を助け人に助けられる生き方です。マラウイ渡航から6か月が過ぎ、もう1度この初心に戻って活動していきたいと思っています。

HIV/AIDS陽性者グループと共に ~Agriculture Show出品のお手伝い
チンテチェ・サポートグループは、構成メンバー全員がHIV/AIDSポジティブです。精神的にも経済的にもお互いに支えあうことを目的に2005年に結成されました。養豚・養鶏・魚の養殖・ドラマの上演など、さまざまな活動を精力的に行っており、勉強熱心なグループです。メンバーが実に活き活きとしており、ミーティングに参加するたびにこちらが元気を与えられています。

 マラウイでは年に1回、Agriculture Showという品評会のようなものが県単位で行われています。今回、そのショーに出品するためのお手伝いをしました。

TAマランダ(私の担当地域)には6つのサポートグループがあります。チンテチェ・サポートグループはその中でも最も早くから活動を始め、地域の中心的なグループです。チンテチェから自転車で1時間半ほどの、奥地にあるサポートグループのメンバーがこんなふうに話をしてくれたことがあります。「私たちは学ぶ機会があまりありません。NGOは主だった地域では活動を展開するけれど、ここみたいな僻地は見放されがちです。チンテチェ・サポートグループのように、豚を飼って現金収入を得るような方法を見つけたいのですが、知識がなくて。」人々はトレーニングを求めている-栄養面・収入向上活動・どうやってお金を貯めるのか…。活動の方向性が少し見えてきたような気がします。

現地の学校を見てみよう ~ムソンバ・プライマリースクール訪問
マラウイの子どもたちは実によく働きます。庭掃除・洗濯・トマトや豆などを売るお手伝い・畑仕事・弟や妹の面倒…。今まで聞いたなかで、学校が嫌いと答えた子はいません。みんな学校が大好き。それでも、家庭の事情で学校に来られない子どももいるそうです。ムソンバ・プライマリースクールでは、そうした生徒を学校に来させたいという思いから、2010年からFeeding Programを始めたそうです。いわば給食制度です。プログラム開始後、入学者数は毎年100人単位で増えているのだとか。自分が親ならやはり食事が提供されるのはありがたいことだろうなあと思います。

ムソンバ・プライマリースクールではFeeding Programを支える次なるプランとして、敷地内に家庭菜園を作り、そこで育てた野菜を使って食事内容を充実させたいと考えているそうです。

ところで、生徒のみなさん。生きてきた環境・文化がまったく違うなかで、同世代の子たちがどんなことを考えているのか、知りたくありませんか? 現在、文通相手を募集しています。プライマリースクール11名・セカンダリースクール27名、計38名の子ども・若者たちが文通をしたいと希望していますので、興味のある人は返事をください。

★生活編~原点に戻ろう

 手に入らないものが多いので、そんな時は自分で作ります。例えば、バジルソース。日本ではスーパーで簡単に買えますが、ここでは作るしかありません。七輪で火をおこしたり、月明りの下で夜ごはんを食べたりと、田舎生活を楽しんでいます。

 

8月上旬から14日間、マラウイの隣国ザンビアに行ってきます。ザンビアもかつてはマラウイと同程度の所得水準だったそうですが、現在は銅の輸出などが軌道にのって国力が増しています。かつては1つの国だったザンビアとマラウイが、現在どんなふうに隔たり、どんな点で違いがあるのかを見てきたいと思います。

それでは、また。

マラウイ通信 第5号

第5号 2012年3月31日
山梨英和中学校高等学校 社会科 吉野 華恵
JICA青年海外協力隊 平成23年度第3次隊


マラウイ湖岸の街、チンテチェの夕暮れ。

琵琶湖の46倍の広さを持つ湖はまるで海のよう。

みなさん、お久しぶりです。第4号を書いてから随分と日がたってしまいました。この間に英和では卒業式・修学旅行・終業式と、年度の終わりを締めくくる大切な節目を迎えていたことと思います。そして、間もなく4月。終わりと始まりの時期ですね。私にとって、例年この時期は新しい年度を迎える前の期待と不安が入り混じった、慌ただしく過ぎてしまう時期です。しかし、今年はまったく異なる環境の中、いろいろと戸惑いながらも慣らし運転をしていました。実にゆっくりと。元気でやっていますので、ご安心ください。

さて、2月16日に同期隊員と別れて、1人で任地へ赴任してきました。私の赴任先は、マラウイ北部のカタベイ県に位置するチンテチェという湖岸沿いの小さな街です。私は新規隊員としてここに入りましたので、地元の人たちはあまり外国人に接触したことがないらしく、通りを歩いていると物珍しげにしげしげと眺められたり声をかけられたりします。また、湖を眺めながら本でも読もうと思って座っていると、最初は遠巻きに眺めていた子供たちが、1人2人とわらわら寄ってきて、知らない間にたくさんの子供たちに囲まれていることもあります。そんなふうに珍しがられるのも最初のうちだけだと思いますが、今は初めての出会いや会話を楽しんでいる状況です。
出会いといえば、家の中でも予期せぬ出会いがたくさんあります。我が物顔で玄関に居座るこぶし大のカエル・日本ほどすばしこくないごきぶり・巨大むかで・タランチュラ・こうもり(まだ出会っていないが、屋根裏に棲んでいる)…。それらに出くわす度に最初は固まっていましたが、今は大分落ち着いて対処できるようになってきました。日本に帰るまでに随分いろんなことに平気になりそうです。

         
地元の子どもたち。外国人を見ると「お金ちょうだい」と   2LDKの豪華な我が家。電気・水道完備。一般的な住宅
言って手を出してくるが「お金がない」とい言うと手を    と比べると豪邸である。買い物するのに少し気がひける

ひっこめる。そういうところが外国人慣なれしていなくて   ときがある。
純朴だ。                         なので、あまり高いものは買わない、買えない。    
                      
     
職場から見える風景。毎日30分歩いて出勤する。           オフィスのある農業普及所。フィールドに
でこぼこ道を歩いていると、放し飼いにされてい          出ない日はここで過ごす。部屋にはパソコン
る牛や山羊や鶏をたくさん見ることができる。           もプリンターも何もない。

どんな仕事をすればいいのだろう?

 私の配属先はNkhatabay District Community Development Office(カタベイ県地域開発局)といい、Ministry of Gender(男女の機会均等や子どもの社会福祉増進などを扱う省)という政府機関の下部組織にあたります。県庁はカタベイ県中心部にありますが、私の任地はそこから50km離れているため、オフィスはチンテチェの農業普及所の一室を借りています。
村落開発普及員といっても、国・地域・所属先の要請によって仕事内容は人それぞれ異なります。私の場合、今のところまだ業務内容がはっきり見えてきません。これから地域の実情を知ったうえで、具体的な取り組みを考えていくことになります。以下は、私の上司にあたる開発局長にうかがった業務内容です。実に漠然としているのですが、少しイメージをつかんでいただけるでしょうか。

開発局長にうかがった、ボランティアに期待される具体的な取り組み
1. ホームマネジメントと栄養面の改善

…どうすれば男女共同で家事を分担できるか、6大栄養素を取り入れた食生活にシフトする方法を伝える。料理の仕方をワークショップを開いて伝授するなどの取り組みが期待される。マラウイでは伝統的に男性優位社会であり、例えば鶏を殺す時に夫の承諾なしには殺せないとか、子どもは鶏の足しか食べさせてもらえないというような現状がある。そういった意識の改善も必要とされている。

2. 共同体の能力を高める

…地域にとって人材づくりは最も重要なことである。健康・農業・収入向上活動・教育などを通して、どのようにコミュニティーを成長させられるか、トレーニングをする。共同体の中に入り、彼らのニーズを引き出してほしい。ターゲットが決まったら提案書をあげる。

3. 資源を有効活用する方策を見つける

…①着手 ②計画 ③実行 ④調整 ⑤M&E の5段階を経て共同体をエンパワーする。この地域には様々な資源がある。材木・お金・石・砂・煉瓦・労働力・土地・セメント・鉄板・釘…そういったものを有効活用し、共同体が元気になる方策を見つける。

4. 共同体に風穴を開ける

…共同体に存在する人的・物的資源を活用するために、彼らが直面している課題への気づきをもたらす必要がある。具体的には、コミュニティーリーダーと話をし、その課題を一緒に考えていくことが期待される。

5. 弱者支援

…地域開発局ではすべての側面においてジェンダーの概念を基礎に置いている。地域には女性差別や子どもの人権が無視されている状況がある。

6. 経済力をつける

…OVOP(One Village One Product。日本の大分県で始まった村おこし。マラウイはJICAの支援を受けてアフリカの中でもいち早くOVOPを取り入れている)の手法を使って収入向上活動に着手する、ビジネスマネジメント、マイクロファイナンス、小規模ビジネス(養鶏・キノコ栽培・養蜂・キャンドル等)のハウツーをトレーニングする。

漠然としていて、何から手をつけてよいのか私にもよくわかりませんし、ファーマーズ・グループの情報もありません。とりあえず何か動いてみようと、3月はようやく入手できた近隣のファーマーズ・グループを訪問してその活動内容を調査したり、5歳未満の乳幼児の身体測定のお手伝いをしたり、他のNGO団体の活動に同行して観察したりという活動をしてきました。日本のように、仕事は計画的には運びません。当日の朝、仕事上のパートナーであるカウンターパートから電話がかかってきてミーティングがその日にあることを知らされたり、予定されていた仕事がキャンセルになったりということは、本当によくあります。

やることリストをずらりと書き上げて働いていた日本での日々と比較すると、ここでの仕事のやり方はまるで異なります。計画が立たずにいらいらしたり、何をすればいいのだろうと戸惑ったりすることも多いのですが、あまり焦らず、ぼちぼちやっていこうと思っています。

    
HIV/AIDSポジティブの人たちのファーマーズ・       ナーサリースクールを見学。ボランティアで地元の
グループに活動状況をうかがった。共同で畑作・      お母さんたちが就学前の幼児に英語の挨拶の仕方な
家畜飼育・養殖を行ったり、感染防止のための啓      どを教えている。この国では英語力は就職の可能性に
発活動が行われている。                 直結している。

 

 “お金貸して”

戸惑うのは仕事上の問題だけではありません。先日、知り合いから「お金を貸してほしい」という相談を受けました。生活費のために2,000MK(日本円で1,000円程度)貸してくれないか、というのです。決して貸せない額ではありませんが、その相談を受けた時に非常に悩みました。誰かから聞いた、「1度貸すとこれから頻繁に頼まれる」「お金を貸したら戻ってこないと思え」という言葉がぐるぐると私の頭の中で駆け巡りました。
一般的に、外国人はお金持ちだと思われています。そして、実際に、日本での暮らしより質素な暮らしをしているようでも、私は豊かな生活をしているのだろうと思います。現地では、穴だらけのぼろぼろの服を着ている人や、水浴びをするための石鹸が買えなくて強い体臭を放っている人がたくさんいますし、「仕事がない」「おなかが減った」という声もよく聞きます。私の同僚のなかにも、「今日はお金がないからお昼ごはんを食べられない」という人もいます。慢性的な収入不足をどのように解決すればよいのか、仕事を増やすにはどうすればよいのかと、考えこんでしまいます。

“今、日本はどんな状況ですか”

3月11日、何人かの知り合いから上のような言葉をかけられました。震災のことはこの国でも報道されており、多くの被災者が出たことも知られています。こんなに遠い国の人たちが日本のことを気にかけてくれているということに心温まる思いで、日本では震災の前と後とで、生き方の重点の置きどころや他者との関係性が変わってきたように思うと、足りない言葉ながら説明しました。

多くの点で日本とマラウイの違いは挙げられますが、何よりも違うのは他者との関係性ではないかと思います。日本でも、田舎に行くと、村中の誰もが知り合いで、非常にコミュニティー内のつながりが強い地域がありますが、ここもそんなかんじです。日中・夜間を問わずおしゃべりの声が聞こえてきますし、前号でも触れたとおり、挨拶をとても重んじています。

1960年代、産業構造の変化と都市化に伴い日本のコミュニティーは大きく変わったのだろうと思います。1940年代や50年代の日本を知る世代が今のマラウイを訪れたら、きっとそこに懐かしいものを感じるのではないでしょうか。“人間性の回復”-そう言うと少し大げさですが、私たちが経済成長の反面失って、また取り戻そうとしているものを、今私はここで見ているような気がしています。

 

では、また近いうちに。

マラウイ通信 第4号

第4号 2012年2月2日

山梨英和中学校高等学校 社会科 吉野 華恵
JICA青年海外協力隊 平成23年度第3次隊

首都リロングウェは緑の香りがする。
高い建物は、ほとんどない。

 みなさん、こんにちは。マラウイから初通信です。1月12日、無事にマラウイに到着しました。
前回の第3号では18時間かけての移動と書きましたが、実際は乗継ぎがあったり到着の遅れがあったりで、成田空港からリロングウェ空港まで24時間かかりました。アフリカはやっぱり遠かったです。でも、空から見たアフリカの大地には感動しました。見渡す限りの広い大地! 高い建物は何もありません。今から2年間ここで暮らすのだと思うと、何ともいえない思いがこみあげてきます。

さて、マラウイでは1年は雨季・乾季・夏の3シーズンに分かれます。現在は雨季のシーズンで、毎日雨が降っています。そのため、大樹に若葉が生い茂り、首都にいるのに緑の香りがしますし、今住んでいるロッジの近くには高原の小鳥のさえずりが聴こえてきます。リロングウェは標高約1,000m。首都と言っても甲府よりも小さい街かもしれません。アフリカの他の国の首都ではあまり見られないそうですが、ここでは裸足で歩いている人をたまに見かけます。その一方で、すごく身なりの良いおしゃれな人もたくさん見ます。

       
上空から見たマラウイ。            庭のマンゴー。甘くて最高においしい。
見渡す限り茶色と緑の大地だ。

      

野生動植物保護センターに遊びに来て      若いお母さんが多い。1人のお母さんが
いた子供。とてもおしゃれな女の子。      産む子供の数は平均6~8人とか。チテン
裕福な家の子と思われる。           ジという何にでも使える布で子供をくる
んでおんぶする。

 第1印象ではマラウイ人はとても日本人っぽく、背丈も日本人とそれほど変わりません。はにかみ屋で、女性は人前では大きな声で話をしません。保守的な国民性だそうです。現地のチェワ語で「ムリバンジ!」(How are you?)と言うとすごく喜んでくれて、最高の笑顔で「ンディリビーノ・カヤイーヌ」(I’m fine thank you, and you?)と答えてくれます。
アフリカ大陸初上陸の私にとっては、見るものすべてが新鮮です。日本では到底走行不可能なほどガタガタの乗合バスに、これでもかと言わんばかりにぎゅうぎゅう詰めで人が乗っている光景、女性が頭の上にバランス良く大きなかごを載せてバナナを売っている光景、それらの1つ1つにアフリカを感じます。

    

 お店がなくても、露天商が商品を持って売り    皿の左側の白い物体がマラウイの主食、シマ。
歩く。車と車の間に靴を頭上に載せて売り     もちもちとしていておいしい。シマ&チキンは
歩く男性の姿が見えますか?           マラウイの定番プレート。これしかないと言っ                        てもいい。食も保守的。

    

荷台の上にあふれんばかりの人々。マトーラという   燃料不足のために、みな歩く。何kmも。
乗り合いバスのようなもの。とても気持ちよさそう。

 さて、マラウイに到着して最初の1週間、私たちは安全対策や自己管理に関するオリエンテーションを受けると同時に、JICAマラウイオフィス現地スタッフの方々からマラウイの社会事情についてのレクチャーを受けました。

 マラウイの経済状況

 ここマラウイでは、日本の物価の1/3以下でものが買えます。それでも、1年前と比べると2倍以上に物価が跳ね上がっているらしく、特に現在、マラウイ国中で大きな問題となっているのが燃料不足です。燃料を買う外貨(USドル)がないのです。外貨不足の原因は、マラウイの総輸出額の70%以上を占めるタバコが売れていないからで、タバコが売れない理由は、第1に世界中で禁煙の流れが巻き起こっており需要が減っていること、第2にタバコの輸入国から原料となる葉を買いたたかれてしまっていることです。今は燃料が輸入されて落ち着きましたが、2週間前はガソリンスタンドにはガソリンを求めて毎日長蛇の列ができていました。内陸国であるマラウイは、どうしても輸送をトラックなどに頼るしかなく、燃料が高騰するとすべての商品に響いてきます。外貨不足は深刻な問題です。

 マラウイの教育事情

 次は教育についてです。マラウイでは小学校8年間、中学校4年間の8-4制をとっています。普通は6歳で小学校に入学しますが、家庭の事情で遅れて入学する子供もいます。小学校は無償ですが義務教育ではありません。ですから、学齢期の児童の入学率は全体の69%です。さらに、ドロップアウトする児童が多く、小学校5年生までの残存率は76%、8年生までの残存率は38.8%という状況です。
小学校を卒業できても、中学校に進学する生徒はぐっと減り、さらに大学に進めるのはよほどの優等生で経済的にも恵まれた人、ということになります。中学校の教員になるためにはカレッジを修了していないといけませんが、有資格者は約38%で、深刻な理数科教員不足が見られます。教育は社会を発展させる要です。マラウイ政府も教育には力を入れようと重点目標の1つに掲げています。

 あいさつを大切にする国

 2週目に入り、現地語の授業が始まりました。私が赴任するカタベイ県はマラウイの北部に位置しており、現地ではトゥンブカ語やトンガ語という言葉が話されています。「Monile(モニーレ)(=Hello)」「Yewo(イェオ)chomene(チョメーネ)(=Thank you very much)」「Nkhukufumila(ンククフミラ)ku(ク)Japan(=I came from Japan)」などの簡単な会話表現を習いました。新しい言語を1から学ぶのは楽しいですね。マーケットで覚えたての現地語を使ってみると、どんな強面の人も笑顔を見せて喜んでくれます。今は周りの会話が全然聞き取れませんが、これから耳が慣れるにつれて会話が聞き取れるようになってくるのはどんな感覚なのだろうかと、楽しみです。

 さて、トゥンブカ語で「こんにちは」にあたる表現は「Muli(ムリ)uli(ウリ)?」・「Mwaka(ムワカ)uli(ウリ)?」などと言います。おもしろいことに、どれも必ず疑問形です。つまり、「こんにちは」と聞かれたら、必ず「Nili(ニリ)makola(マコーラ)(=I’m fine)」などと答えなければなりません。マラウイは挨拶をとても大切にしている国で、それだけでかなりの時間をとります。「こんにちは」と言って通り過ぎる、ということはできません。必ず立ち止まって相手の顔を見て、握手をして、という時間を相手に捧げます。
また、時間の感覚についても私たち日本人とは随分かけ離れています。マラウイ人に言わせると、「いつするか」ではなく「何をするか」が大切なのだそうです。なので、人と会う時に遅れたとしても、実際に会ったということが大切なので何も問題はありません。

  3週目はCountry Tourといって、赴任先へ1人で出向いて職場への挨拶や住居の確認をしてきます。初めてのマラウイ国内での単独移動。仲間と離れて単身赴くのは少し不安でもありますが、どんな場所で暮らすのか、どんな人と出会えるのか楽しみです。
日本は大雪だそうですね。風邪などひかないように気をつけてください。それでは、また。

マラウイ通信 第3号

                   第3号 2012年1月8日

 山梨英和中学校高等学校 社会科 吉野 華恵
JICA青年海外協力隊 平成23年度第3次隊


「さすけねぞい」=大丈夫の意味。

二本松市のあちこちで見られる。

 

みなさん、新年明けましておめでとうございます。

65日間の訓練も無事終了し、出国までの準備期間もあっという間に過ぎようとしています。これからが本当の意味でのスタートです。モンゴル、南アフリカ共和国、ヨルダン、ザンビア、ケニア、チュニジア、エチオピア、ベトナム、インドネシア、ウガンダ、ルワンダ…、さまざまな国に仲間が旅立っていきます。同じ時を過ごした友が世界の各地でがんばっていると思うと、自分もがんばれそうな気がします。生徒のみなさんにとってもそうではないでしょうか。山梨英和という場所で、人生の最も多感でやわらかい時を過ごしているみなさんは、これからどんな場所でどんな人生を送るのでしょうか。友達がどんな人生を歩んでいるのか想像してみると、その分だけ自分の人生が広がるような気がしませんか。

さて、私たち平成23年度第3次隊は、東日本大震災以降、福島県の二本松訓練所で訓練を受けた初めての隊次でした。いろいろと不安もありましたが、ここでしかできないことや感じられないこともたくさんありました。今回は、福島や宮城で私たちが見てきたことをお伝えしたいと思います。

2011年3月11日、地震が起きた直後に、「先生、何かしたい! 何かできることありませんか」と言ってきた生徒たちがいました。その後、生徒会や学年でも募金活動が始まりましたし、クラブや委員会活動でさまざまな支援をしてきた団体もあります。学校全体として山梨フードバンクさんを通じて物資の提供も行いましたね。私はそうした地道な小さな活動はとても意味があると思いますし、若いうちからそんなふうに誰かのためになることをしたいと考えているみなさんを、心からすごいと思います。私の中学・高校時代は自分のことしか考えていませんでした。
ところで、みなさんは提供した物資がどんなふうに被災者の手元に渡るのか、想像できますか。私は物資を集めたり送ったりする活動をしつつも、その行く末についてのイメージを持つことができませんでした。しかし、今回、訓練中に機会を得て、全国から集まった物資の仕分け作業をお手伝いすることができ、「こんなふうに私たちの思いは届けられるんだ」と得心することができました。まずは、その様子をお伝えしたいと思います。

 ①  2011年11月中旬 福島県福島市にてNPO法人本部での物資仕分け

  

被災者と支援者をつなげること、それが私たちの役割だと思う

私たちがお手伝いしたNPO法人では、代表者の方の自宅の庭先で物資の仕分け・販売がなされています(「販売」の意味は後で説明します)。こんなふうに全国から段ボールが運ばれてくるのですが、多い時で1日150箱が届くそうです。それを、被災者の方々が利用しやすいように、ボランティアが仕分けをしていきます。段ボールの中には支援者の方からの手紙が入っていることもあるそうですが、この団体ではそれを見落とさないようにして、その手紙を被災者の方に読んでもらえるようにしているということでした。代表者の方が、「支援者は何か人に役立つことがしたいと思って物資を送ってこられるし、被災者は物資を必要としている。だから、その両者の思いをきちんとくみとってお互いに届けられるようにしたいと思って活動している」とおっしゃっていました。

  

ボランティアで大切なことは“迅速さ”

庭先のみならず、家の中にもところ狭しと段ボールが置かれています。衣類・布団・乾電池・ベビーカー・鍋・洗剤・米俵…、ありとあらゆるものが並んでいます。私たちがお手伝いをした頃は福島市でも雪が降るか降らないかという、寒さが厳しくなり始めていた頃でしたので、毛布や手袋などの防寒グッズを買っていかれる方が目立ちました。
被災者のニーズは時と共にどんどん変わっていきます。地震直後は水やガソリンが最も不足していたそうですが、仮設住宅に人々が移り始めた8~9月ぐらいになると寝具や鍋などの生活物資が、10~11月の時点ではそれらが一通りそろって、替わってお米やトイレットペーパーなどの生活消耗品の需要が増えてきたそうです。今は趣味や仕事につながるものへのニーズが増えているということで、ある新聞に「手芸用の針の寄付を募っています」というお知らせを出したところ、全国から針や糸が大量に送られてきたそうです。私たちがボランティアに行った日は針や毛糸が何箱も届いた日でした。それらを仕分けしたり、値段をつけたり、庭先に並べたりという作業をしました。

       

ところで、上の写真の品物には値段がつけられています。ほとんどが数十円程度の安い価格設定ですが、ただで配ればよいようなものをどうして販売しているのでしょうか。それは、ただでもらえるとなると、自分にとって本当に必要なものでなくても「とりあえずもらっておこう」という心理がはたらき、本当に必要としている人へ物資が渡らなくなるからだそうです。売上げは福島県で両親を亡くした子供たち21人への支援金に回されます。

物資の仕分け作業をお手伝いしてみて、かゆいところに手が届くような支援をするためには、現地で何が求められているのか情報を得ることが大切だということを実感しました。

今度は沿岸部の様子です。

 

②  2011年12月初旬 宮城県釜石市で側溝の泥かき作業の様子

修了式の後、訓練所の仲間10名と宮城県釜石市で側溝の泥かき作業をしてきました。
週末ともなると、都市圏からボランティアバスが出て、大勢の会社員・主婦の方・OL・大学生などのボランティアがやってきます。高校生もいました。側溝の泥かきのような力仕事の他に、クリスマスの飾り付けや被災者の方の話を聴くというようなボランティアもあり、いろいろな形での支援が可能です。

  

 寒い朝だったが、東京から10時間かけて夜行バスでやってきた人たちが続々と集まる。

  

宿泊所がある内陸部から沿岸部の宮城県釜石市までバスで移動する。見渡す限りの広い大地。しかし、ここは震災前は家が立ち並んでいた場所だ。

 

復興には時間がかかる

現地は津波の影響が大きかった地域で、沿岸部に建物はほとんど残っていません。少し離れた場所でも、1階部分は壊滅状態になっており、取り壊しを待っている家がたくさんありました。私たちは10名ほどのチームを組み、3チームに分かれて側溝のヘドロを取り除く作業をしましたが、ものすごい力で流されてきたいろんなものが埋まっており、朝から1日中作業しても1チーム10mぐらいしか除去することができませんでした。人が住めるようになるまでにまだまだ時間がかかりそうです。しかし、細かい作業は機械ではできない部分であり、どうしても人の力が必要です。

   

 まだ人の住める街ではない。すれ違う人はお年寄りばかり。

    

側溝からは食器や入れ歯や学習ノートなど、日常使われていたものがたくさん出てきた。

 

   

 帰る道すがら見たがれきの山。言葉を失う光景があちこちで見られる。

 ボランティアのために、現地のお母さんが温かい地元のお汁とおにぎりを出してくださいました。この地域ではNPO法人との間で信頼関係が築かれており、お互いに支えあいがなされています。心も体も温まりました。

   

 

画面から見えてこないもの・紙面から読み取れないもの

3月11日の地震のすぐ後、生徒から聞いたまっすぐな熱い思い。私も同じようなもどかしい思いでしたが、何をしたらいいのかわからず、そもそも何かできるのだろうかと戸惑ったことを思い返します。ここに来てわかったことは、現地ではやるべきことがいっぱいあったのだということでした。そして、今も私たちにできることはまだまだいっぱいあります。少しでも時間があれば、あまり気負わずに現地に足を運んでみてください。画面や紙面からは見えてこないもの・聞こえないもの・匂ってこないものが感じられると思います。

以上が私が見聞きしてきたことの一部です。
東北大震災の後、日本がこれまで支援してきた途上国の国々から慰めや励ましのメッセージ、義捐金などが日本政府に送られてきたそうです。日本円にして数十万円とか数百万円程度の小さな額かもしれませんが、彼らにしてみれば精一杯の支援です。そういう気持ちに本当に胸が熱くなります。

出国は1月11日です。香港・南アフリカ経由で約18時間かけてマラウイに到着し、5週間首都のリロングウェに滞在し、12名の同期生と共に現地語を学びます。その後、仲間と別れて赴任先に旅立ち、いよいよ活動開始です。村では通信環境がどんな具合かわかりませんので、しばらくマラウイ通信が発行できないかもしれませんが、何らかの形で現地の情報をお届けしていきたいと思いますので、気長にお待ちください。

それでは、みなさん、また会う日まで!

 

マラウイ通信 第2号

第2号 2011年11月13日

山梨英和中学高等学校 社会科 吉野 華恵
JICA青年海外協力隊 平成23年度第3次隊

部屋の窓から見える景色 

 みなさん、こんにちは。甲府はすっかり秋色に染まっている頃でしょうか。安達太良山のふもとにあるここも、ずいぶんと秋が深まりました。先週は最低気温が5℃まで下がりましたので、訓練が終わる頃には雪が見られるかもしれません。
そちらは修養会を前に、心静かに自分のことや他者のことを見つめる時期を迎えていることと思います。どんなふうに過ごしていますか。これまでに多くの卒業生が言ってきたように、私もまた、毎朝の礼拝がない生活になんとなく物足りないような寂しいような心持ちで内省の時を迎えています。

  さて、マラウイ通信第1号を発行してからずいぶんと日がたってしまいました。この1ヵ月間は、私にとって多くの出会いをもたらし、また新鮮で、忙しくも充実した日々でした。語学の学習にプレゼンの準備にと、毎日の宿題をこなすので精一杯。気づいたら訓練もあと3週間というところまできてしまいました。元気にやっていますので、ご安心ください。今回は私の1日の様子をご紹介したいと思います。

 

①7:00 朝の集い

訓練生105名全員が集まって朝の挨拶・国旗掲揚・ラジオ体操などを行います。訓練のなかで繰り返し言われることが、「自分の体は自分で守る」ということです。今から体力をつけるために、訓練所では朝から晩まできちんと体力維持のためのメニューが組み込まれており、食事も朝・昼・晩と栄養バランスの良い献立が考えられています。食欲がない朝も欠食することはできません。ここに来て既に2kg体重が増えました。

ある日の夕食。1日約2000kcalに   
                                 なるようコントロールされている。

 ②8:45~11:35 Home-Classで英語の授業

午前の3時間は英会話の授業です。生徒5~6人につき先生が1人という、非常に恵まれた環境です。私は大学生の時以来、英語と無関係の生活を送ってきましたので、習得にかなり苦労しています。日本語では簡単に答えられるような問いかけなのに、英語というだけで頭の中が真っ白になって、しどろもどろ。主語はなんだっけ、時制はなんだっけ…と考えているうちに話題はどんどん変わっていき、発言するタイミングを逃しては後悔しています。でも、とてもすばらしい先生と大好きなクラスメートたちに囲まれて、毎日の授業はとても充実しています。先週、中間試験がありました。まだまだ学習が足りません。あと3週間、がんばります。

 

③13:00~14:50 Technical-Classで英語の授業


午後はテクニカルクラスの授業です。テクニカルクラスというのは、現地に派遣された時に実際に使える技術を身につけることを目的とした授業です。私の職種は村落開発普及員ですので、村民に対
してどのようなプレゼンやワークショップを行うか、どのような知識・技術が必要となるかを想定して学習しています。プレゼンやワークショップはすべて英語でしなければならないので、普段の2倍の時間と労力がかかります。この間は、「Learn how to take the well-balanced meal~workshop for preventing HIV/AIDS」(「栄養バランスの良い食事を摂る方法を学ぶ~HIV/AIDSを防ぐため     
のワークショップ」)というテーマでワークショップを行いました。  主に1週間に1回のペースで順番が回ってくるのですが、前日は徹夜状態です。

現地の村民に対してプレゼンを行うという想定。
これがなかなか難しい。

④15:10~17:00 講義

英語を聞き取るためにはかなりの集中力が必要なので、午前と午後の英語の授業ですべての集中力を使い切っており、講義の時間には頭はもうろうとしています。でも、この講義がまたおもしろいのです。例えば、現地でどのような怪我や事故にまきこまれやすいのかを教わったり、コミュニケーションスキルを身につけるためのワークショップを行ったり、異文化に適応するために必要な考え方は何かを考えたり、というかんじです。また、週に1回は予防接種があり、A型肝炎・B型肝炎・狂犬病・破傷風などを受けます。

 

⑤19:00~21:00 自習

この時間帯は自習が義務付けられています。毎日必ず宿題が出るので、それをこなすのに精一杯です。また、プレゼン/ワークショップの準備のために自習時間だけでは足りず、毎日睡眠不足状態です。モンゴル語・フランス語・スワヒリ語などの非英語言語を学んでいる仲間は1からの学習なので大変そうです。それでも、既にある程度の会話はできるようになっているので、すごいことです。
 こんなふうに私の1日は終わります。スケジュールがびっしりと
組み込まれていて、土曜日も祝日も授業があります。くたくたに
疲れるのですが、土曜日の夜から日曜日は息抜きをして過ごして
います。近くの百名山に登ったり、生活班の仲間とごはんを食べ
に行ったり。来週もがんばろう!と思える瞬間です。

 

訓練所の仲間に教えてもらったパン作り。 
特技を持っている人が周りにたくさんいます。
     

 

次号は福島県での被災地ボランティアについて触れたいと思っています。

マラウイ通信 第1号

マラウイ通信

第1号2011年10月07日

山梨英和中学高等学校 社会科 吉野 華恵
JICA青年海外協力隊 平成23年度第3次隊

 山梨英和のみなさん、お久しぶりです。学校は後期Ⅰ試験も終わり、ほっと一息といったところでしょうか。強歩に向けて準備が進められていることと思います。

 私は今、福島県二本松市にあるJICA二本松青年海外協力隊訓練所にいます。今週からいよいよ65日間の訓練が始まりました。「あれ、すぐにアフリカに行くんじゃなかったの?」と思われた方もいると思いますが、私たちはまだ青年海外協力隊の「候補生」であって、この訓練が終わってから海外派遣ということになります。約2ヵ月間、主に、現地で仕事をこなすために必要な語学力を身につけるのですが、それ以外にも、国際協力やボランティア事業を理解するための講座、任国のことをよく理解し異文化に適応するための講座、安全管理や健康管理のための講座など各種講座が開かれ、いろいろな面でスキルアップをはかります。また、105名の候補生が朝から晩まで共に65日間を過ごしますので不自由なこともあるのですが、他者との共同生活を通してコミュニケーション能力を高めたり、自分本位の生活スタイルから抜け出したりと、精神的な面でのタフネスを鍛える場でもあるようですね。脱落しないよう、がんばります。

  さて、訓練所についてですが、JR二本松駅からバスに揺られて30分、安達太良山のすぐ近くの自然の中にあります。気温は山梨より3~4℃ほど低く、紅葉が始まっていてとてもきれいな地域&施設です。窓から見える木々はとても美しく、毎日それを見るたびに「ほぅ・・・」とため息をついています。

 10月5日が入所式で、今日までの3日間はオリエンテーションや英語のクラス分けテストがありました。英語は明日から本格的にクラスに分かれて少人数制での学習が始まります。聞くところによると、中学の3年間で学ぶ英語の授業時数の3分の2の時間を授業で受けるそうで、かなり集中的に勉強をしていきます。英語を学習している生徒のみなさん、共にがんばりましょう!

朝から晩までびっしりのスケジュールはとても疲れますが、いろんな年齢層・バックグラウンドを持つ人たちと友達になり、おもしろい3日間を過ごしています。

  このマラウイ通信では、派遣前訓練から出国後の現地の様子、感じたことなどを、できる範囲で(語学学習の進度状況や海外の通信状況によっては途絶えることもある)お伝えしていきたいと思っています。どうぞよろしくお願いします。

 

           
     とてもきれいな二本松訓練所     安達太良山のふもとにあり、窓から見える               景色は絵画のようです。