山梨英和高等学校入学式式辞

山梨英和高等学校入学式式辞         2018年4月5日
校長 三井 貴子

 みなさん、山梨英和高等学校へのご入学おめでとうございます。皆さんのご入学を心からお祝いし、歓迎いたします。山梨英和高等学校に、今年は102名の新入生を迎えることができ、本当にうれしく思います。義務教育を終え、勉学を続けることを望んで今ここにいる皆さんには、自己責任を伴う未来に繋がる高校生活が待っています。
 高等学校は義務教育とは違い、今まで以上に本人の学ぶ姿勢が問われます。今日は2人の人物から学びたいと思います。一人目は、スピードスケートの小平奈緒選手(長野県出身)です。今年開催された平昌五輪で日本女子スピードスケート初の金メダルを獲得しました。先日『「遠回り」の金メダル』というインタビュー記事が新聞に掲載されていました。その中で小平選手は次のように述べています。まず31歳という年齢について「一般的には遅咲きと言われるかもしれないけれど、世間一般の時間軸に縛られてしまうと、自分らしくなくて、自分の人生を生きている感じがしないかな。」と言っています。
 また、三度目のオリンピックは今までと何が違ったのかという質問に対して「みんなに認められたいと思って、だれもが生きています。私もそうでした。だからソチ五輪の時は結果が出なかったらみんなが離れていく気がして。結果を出したいという欲がすごく出てしまっていた。でも平昌はたとえ負けても身近なだれかが必ず見ていてくれると思えて。欲が消えると人の喜びを自分の事のように素直に受け止められるようになり、人の頑張りを見ても、自分も頑張ろうと変換できるようになった。」と振り返っています。強い欲が消えて,不安や重圧なく,まさに無の境地でレースに臨めた結果が実を結んだそうです。最後に、インド独立の父ガンジーの言葉「明日死ぬかのように生きよ。永遠に生きるかのように学べ」を挙げ「この言葉で自分の中に種をまかれたようで、自力で解釈し行動に移して、その種を成長させることにも楽しみを感じています」と締めくくっています。
 もう一人は将棋の藤井聡太六段です。みなさんと同じ15歳,高校進学か,進学せずにプロの道を突き進むか悩んだ末に,高校進学を決意し,この春,高校に入学しました。14歳2ヶ月でプロ入りし,最年少記録を次々と塗り替え,2017年度には前人未踏の29連勝を成し遂げました。中学生最後の対局となった3月28日の王将戦予選で敗れた藤井六段は次のように述べました。「自分が思った以上の活躍ができたが,本局のように力が足りないところもあった。これまでの結果に関して評価をするのはまだ早い。今は実力をつける時期だと思っている。」15歳ながら,いつも冷静で前向きなコメントをしています。みなさんと同級生ですが,自分とは全く別世界の人だと思っていませんか?
 ゴールまで最短距離を突き進む藤井六段と,遠回りをしてゴールに到達した小平選手には共通点があるでしょうか?二人とも「努力の人」であることは間違いありません。「特別な能力を与えられた人」ではなく,「神様から頂いた能力を努力によって最大限活かした人」であります。私たちには想像もつかないような困難を乗り越え,他の人の何百倍もの努力に裏付けられた結果であると思います。
皆さんは,どのように高校生活を送ろうとしていますか?自らが明確な目標を設定し、主体的に取り組む事で皆さんの学びはどんどん深まり,夢の実現に近づいていきます。イヤイヤながら勉強させられるのと主体的に学ぶのとでは、結果は全く違うものになる事はすでに科学的にも明らかにされています。皆さんはどちらを選びますか?皆さんに与えられている山梨英和高校での生活は、3年間という限られた時間です。ただし,ゴールにたどり着く道筋は無数にあります。小平選手のように「遠回り」もあります。自分にあったやり方で歩んでいけば良いと思います。大切なのは,自分に与えられた能力を最大限活かして,深い学びを追求していって欲しいと切に願っています。
山梨英和の校訓は「敬神・愛人・自修」です。今、活かされていることを神様に感謝し、神様から与えられた能力を見いだすために主体的に学び、そして、その能力を他者のためにどのように活かすことができるのかを見い出すということです。
 皆さん一人ひとりはかけがえのない存在です。まずは他の人とは違う自分自身の存在を認め、感謝し、自分に何ができるのか考えてみてください。そして、それを行動に移す勇気を持ってください。たとえ失敗を繰り返しても、くじけそうになっても、神様が背後で支えていてくださいます。今だからこそ大いに失敗できるのです。
 今年、山梨英和は創立129年目を迎えます。皆さんの行動には、伝統を継承し新たな時代を築き上げていく山梨英和高校の生徒としての責任が伴います。規律を守り、山梨英和高校の生徒としての誇りを持ってかけがえのない一日一日を大切に過ごして欲しいと思います。
 最後に、今日読んだ聖書には、皆さんが選んだのではなく、「私があなたがたを選んだ」と書いてあります。聖書的に言うならば、皆さんは神様に選ばれて、山梨英和高等学校に入学したということになるのです。常に心の中に留めておいてください。
 保護者の皆様、お嬢様の山梨英和高等学校へのご入学、心からお喜び申し上げます。この3年間は、生徒たちが自分自身を見つめ、今後の人生を決定していく、極めて重要な時期です。生徒の自立を促しながら、時には暖かく、時には厳しく成長を支えていきたいと思います。生徒が安心して高校生活を送るためには、保護者と学校の信頼関係が強固なものでなくてはなりません。本校の教育方針へのご理解をお願いいたします。
 山梨英和高校での生活が、豊かで充実したものとなりますように、心から祈りつつ、式辞と致します。