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2018.12.17 / その他 /

放送礼拝 石原先生

 聖書 ローマの信徒への手紙 12章15節~16節  昨年もお話しましたが、私のこの時期の楽しみはやはり「FNS歌謡祭」です。昨年の放送礼拝では、NMB48の「ワロタピープル」の歌詞から思うことをお話しました。今年の「FNS歌謡祭」も寝る時間との兼ね合いがありますので、慎重に録画し、後日じっくりと鑑賞しました。今年の一押しは、高橋真梨子というベテランの女性シンガーが、ジュリーの愛称で知られる沢田研二の「勝手にしやがれ」をカバーした1曲です。「勝手にしやがれ」であれば、恐らくもう何百回と聴いていると思うのですが、いつもと違う高橋真梨子の「勝手にしやがれ」でしたので、とても新鮮な気持ちで聴くことができ、歌詞を深く味わうことができました。そのなかで、二番のある歌詞が今回ヒットしましたので、紹介します。「別にふざけて困らせたわけじゃない、愛というのに照れてただけだよ」。特に「愛というのに照れてただけだよ」の部分です。  さて、12月は「寄付月間」だというにユースを先日、目にしました。「欲しい未来に寄付を贈ろう」を合い言葉に、2015年から毎年12月に全国規模で行われています。ホームページにコンセプト的な文章が掲載されていました。これも紹介します。  1年の終わりに考えたいのは未来のこと  もっと楽しい未来  もっと優しい未来  もっと平和な未来  もっと多様性が認められる未来  そんな未来を手にするために、あなたの気持ちを寄付にしよう  寄付は意思、寄付は投資、寄付は応援、寄付は願い。  だから、「ギビング ディッセンバー」。  1年の終わりに、未来を考え寄付をする。  そんな習慣を、はしめたいと思います。  欲しい未来を叶えてくれる 様々な取り組みに、あなたの想いを託しましょう。  さあ、年の終わりに、新しい「寄付」が始まります。  日本は、欧米に比べると、寄付の文化が乏しい、と言われていますが、皆さんはどう思いますか? 私は、ここ数年、日本でも「善意の輪」がどんどん大きくなっているのを感じます。例えば、漫画「タイガーマスク」の、伊達直人を名乗る匿名の人物がランドセル10個を養護施設に贈ったニュースをきっかけに、次々に新たな伊達直人さんが現れて、全国の施設にランドセルや文房具が届けられました。東日本大震災では、日本中が被災地のことを自分のことのように考え、自分にできることは何か、それを素直に行動に表すことができました。その支援の輪は大きくなり、熊本の震災や西日本豪雨、北海道の震災でも見ることができました。英和の生徒会もすぐに行動に移していました。  このように、私は、日本が欧米に比べて誰かを助けたいという心が弱いのではなく、「勝手にしやがれ」の歌詞にある、「愛というのに照れてるたけ」ではないか、というふうに思っています。しかし、この「ちょっとした照れ」、が、意外と高い「心のハード」ルになっているのではないでしょうか。そのハードルを下げるにはどのように思考すればよいのでしょうか?  「見えざる手」で有名な、アダム=スミスという18世紀の有名な経済学者はこう言いました。人間は利己的だが、人間の本性の中には、他人に関心を持つ、「共感」の感情がある、と。 私はアダム=スミスの、「人間は利己的だが・・・」が心のハードルを下げる重要なファクターになると思っています。自分のことより、誰かのこと、自分を犠牲にしてでも困った人を助ける、それはなかなか出来ることではありませんし、できるとすれば、それは徳の高い人、特別心の清い人、この放送を聞いている人の中に、そう思う人がいるかもしれません。  しかし、それをできるのが、徳の高い人だけ、とするならば、人類はとっくに滅んでいたのではないか。人類は「文明」や「科学」というものを手に入れるずっと前、何度も絶滅の危機にさらされてきました。例えば、気温の急激な低下で、食糧危機に陥いりながらも、何度もそれを乗り越えてきて、今の私たちがあります。なぜ人間は生存の危機を乗り越えてこれたのか? それは誰にでも等しく「分かち合う心」が備わっていたからだと言う人類学者もいます。  人間は利己的、つまり、自分勝手な生き方をしてしまう生き物でありながらも、同時に他者の立場を自分のこととして想像できる、「共感する心」が神様から与えられているのだと思います。「利己的」と「分かち会う心」、この二つは相反する人間像なのではなく、人間、誰の心にも共存し、時に「利己的」が顔を出し悪さをしたり、そうでありながら、時に「分かち合う心」が誰かの苦しみに寄り添ったり。人を「二者択一」で測ることは愚かなことです。皆さんのなかに、自分を利己的だと嫌悪したり、その逆に「いい人でいること」に疲れを覚えている人はいるでしょうか?神様は利己的で自分勝手な私たち一人一人にも、ちゃんと「分かち合う心」を備えて下さっています。  今、人類は、文明の生まれる前の原始の時代とは、また違う形の絶滅の危機に直面していると思いませんか? 温暖化をはじめとする環境問題、ますます広がる経済格差の問題。原始の人類が、「分かち合う心」で乗り越えたように、私たち、とりわけ、生徒の皆さんのような若い世代が、考えていかなければ、本当に地球が、人間社会がおかしくなってしまうかもしれません。  先ほどの、寄付月間のキャッチコピーのなかには、「困った人を助けましょう」や、「あなたの100円で何人分の○○」などという言葉は出てきません。そうではなく、一緒に未来を築いていこう、いうメッセージが中心です。「もっと楽しい未来」、「もっと優しい未来」、「もっと平和な未来」、「もっと多様性が認められる社会」。どういう「未来」をつくるかは、私たちの行動しだいではないでしようか?
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