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2018.12.12 / その他 /

保健委員会 放送礼拝

ルカによる福音書 17.9-10 見えない所で善い行いをする事は、常にできることではありません。むしろ見えない所でだからこそ、行いがおろそかになりがちです。人は、褒められると嬉しくなって、もっと頑張ろうと思えますが、誰からもその行為を認められなかったり、その善意が報われないと感じると、悲しくなったり、モチベーションが下がってしまうこともあります。聖書には、見えない所でも見返りを求めない善意を行う事が天に富を積むことだと書いてあります。見られていないからこそ自分の行動を正し、善い行いをするという姿勢の積み重ねは、いつか自分の力になっていくだけでなく、周囲を変える力にもなります。 今日は、いつも綺麗に保たれている二つの場所を通して、掃除をする側の気持ちとそこで過ごす人々の気持ちに触れながら、見返りを求めない優しさのかたちについて考えて見たいと思います。最初の綺麗な場所については、曲を流します。そこからイメージされる景色を思い浮かべて下さい。 ディズニーランドに行ったことのある人は、エントランスで流れている曲であるとすぐに浮かび、綺麗な景色を思い出すのではないでしょうか。それは、ディズニーランドで働くキャスト一人ひとりが常にパーク内をキレイにしようと努力してきた証だと思います。ディズニーランドは地面までとても綺麗です。掃除をするカストーディアルキャストは、誇りを持ってパークを綺麗にし、私達ゲストが楽しい思い出を作れるようなお手伝いもしてくれます。ディズニーランドが多くの人に愛される場所になっているのは、パークの中で働いている人たちが、こうしたゲスト一人一人をもてなす気持ちを、綺麗な環境という目に見える形で伝えられていることも大きいのではないでしょうか。人目につかない所であっても、ゴミ一つ無い環境を保ち続けることによって、あの夢の世界ができ、訪れるゲストも、このパークを汚さないようにしようと思えます。綺麗な環境を保ち続けていこうという連鎖は、こうしたカストーディアルキャストのおもてなしの姿勢によって、広がっていくのだと思います。 もうひとつ綺麗な環境といえば、日本の空港も挙げられます。みなさんは羽田空港の新津春子さんという方をご存知でしょうか。彼女は30年間羽田空港の清掃員として働き、今では社内700人の清掃員を束ねるリーダーを務めています。17歳で清掃のアルバイトに出会い、初めはお給料を貰うためだけに働いていたものの、27歳で出場した全国ビルクリーニング技能協議会での優勝をきっかけに、清掃の仕事にやりがいと楽しさを見出したそうです。イギリスの「スカイトラックス社」が毎年発表しているランキングによると、羽田空港は世界にある550以上の空港のなかで、“最も清潔な空港”に選ばれました。それが、2013年、14年、16年、17年と、たった5年間で4回も選ばれています。一度選ばれたことに満足して、手を抜くことなく、それを糧にして努力を続けてきたから、このような結果を出せたのだと思います。 新津さんは、掃除をする際、ヒト、モノに対する「優しさ」を大切にしているそうです。たとえきれいにしても、使う人が誰もいなかったら、清掃をする意味がない、だから、まずは使う“人”のことを考えるそうです。いつもみんながどこに触っているのかによって、清掃の手順を変えていきます。例えばテーブルを掃除するとします。小さな子どもならきっと、脚の低い部分を触るだろうし、年配の方ならテーブルの面に体重をかけてイスに座るかもしれない。ものがある場所の環境や使う人によって汚れも変わるからこそ、どう清掃をするのかが大事だとおっしゃっています。また、そのテーブルがどういう素材で、汚れがどのように付いていて、どの洗剤を使うべきで、水拭きは何回すればいいのか、そういったたくさんのことを考えるそうです。これはヒトにも、また、モノに対する優しさでもあります。観察し、想定し、それをもとに限られた時間の中で実行に移すことができる優しさのかたちです。 いつもきれいに保たれている二つの場所で働く人は、その場所が綺麗になっているからといってゲストや利用者から感謝の言葉がいつもあるわけではないと思います。それでも、訪れる一人一人にその場所で気持ちよく過ごしてもらうための努力を惜しみません。人を思う優しさのかたちはこういうことなのかと思います。 皆さんも、英和がディズニーランドや羽田空港のように、綺麗な環境を保ち続けていこうという連鎖が続くように、まずは学校で過ごす仲間のことを思い、日常の掃除に向かう姿勢を見つめなおし、身近な所から綺麗にしていこうという気持ちが持てたら嬉しいです。 お祈りします。 神様、今日も礼拝から一日を始められることに感謝します。 今日は綺麗な環境についてお話ししました。私たちは常に神様の望まれている行為をし続ける事はなかなかできませんが、どうか皆のひとつひとつの努力が報われますように。そして私たちがいつも気持ちよく学校生活を送ることができるような環境作りに尽力して下さっている業務の方々への感謝も忘れず日々を過ごしたいと思います。クリスマス礼拝が近づき、一年の締めくくりをする時となっています。辛いことがあっても、嬉しいことがあっても、皆が充実した一年だったと思えるように皆の健康とこれからの道をもお見守りください。このお祈りを尊き主、イエスキリストのみ名によってみ前にお捧げいたします。   アーメン。
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