わたしは世の終わりまで、いつもあなたがたと共にいる。(マタイによる福音書28章20節)2022年3月保育聖句
わたしは世の終わりまで、いつもあなたがたと共にいる。
(マタイによる福音書28章20節)
『 あなたは一人ではない! 』
3月は、別れの時であり、4月から始まる新たなる希望に満ちた始まりにつながる大切な月です。環境の変化は、希望と同時に大きな不安をもたらします。大人ですら、職場が変わったりするとストレスを感じることがあります。卒園する「かえで組」の子どもたちには、今よりももっともっと大きな世界があるということを知り、もっともっと大きく成長してほしいと思います。また、その他の子どもたちも1つずつ学年が上がり、素敵なお兄さん、お姉さんになってほしいと願っています。
さて、話は全く変わって、紀元前より地球上に存在した「天然痘」という病気がありました。感染力が強く、多数の人々が命を落としてきました。奈良時代日本で「天然痘」が大流行し、多くの死者を出しました。役人の間にも感染が広がり、政治が成り行かないほどの被害が出たようです。そこで、聖武天皇は仏教の力を借りて天然痘を抑え、社会の不安を少しでも軽減しようと、奈良の東大寺に盧舎那仏(大仏)を建立し、全国に国分寺、国分尼寺を建立しました。そして、天然痘との戦いはその後も1200年ほど続きましたが、1980年に世界保健機関(WHO)が天然痘の根絶を宣言しました。天然痘の予防のために、種痘と言って上腕部に針でワクチンを植え付けることが行われ、ある一定の年齢以上の方の上腕部には種痘の跡があります。若い人には、ないはずです。このように、人類は一つのウイルス性の伝染病を根絶するまでに数千年間戦ってきました。
新型コロナウイルス感染症にしても、1日も早く私たちが安心して暮らすことのできる日常が戻ってくることを願うばかりです。しかし、新しい年を迎えたころから驚異的に感染者が拡大し、衰える兆しが見えてきません。多くの教育機関、特に多数の子どもが集い、日々の活動を行うこども園は、多くの感染リスクを負い、危険にさらされています。子どもは症状が出にくいといわれているため、感染を確認することが非常に困難です。また、小さな子どもたちはマスクをすることができません。少しでも子どもたちの感染リスクを減らすため、今まで通り、私たちにできる感染対策を続けていくしかありません。
さらに話が変わり、以前NHKのテレビ番組で、「無縁社会」についての特集が行われました。会社を退職し、社会から徐々に孤立していく人々、家族との関係が希薄になり孤立していく人々、多くの人が孤独を感じながら社会から孤立して生活しています。また、仕事や学校に行けず家にこもり、家族以外とはほとんど交流がない「ひきこもり」という状況にある人々も多数います。
『新約聖書』マタイによる福音書1章23節では、イエス・キリストの誕生に際し、「見よ、おとめが身ごもって男の子を生む。その名はインマヌエルと呼ばれる。」とあります。インマヌエルとは「神が私たちと共におられる。」という意味です。 そして、今月の聖句は、マタイによる福音書の最後の締めくくりに、十字架にかけられた後、復活したイエス・キリストは弟子たちと再びガリラヤで出会われ、「わたしは世の終わりまで、いつもあなたがたと共にいる。」と約束してくださいました。
私たちは日々の生活の中で、精神的なよりどころをなくし孤独を感じたり、解決が不可能と思われる困難に直面したりすることがあります。そんな時、私たちは嘆いたり、落ち込んだり、最悪の場合、精神的に追い込まれ、病気になったりすることもあるかもしれません。でも、そんな私たちにもインマヌエル、イエス・キリストは決して見捨てることなく、私たちと共にいて下さるのです。雨の日も、嵐の日も、晴れの日も、喜びの時も、悲しみの時も、どんな時も私たちは一人ではないことを、聖書は繰り返し語ってくれています。
園長 石川 健