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カテゴリ:園長通信 投稿日:2015/05/09

「初めに、神は天地を創造された。」

「初めに、神は天地を創造された。」 創世記1章1節 

 新年度が始まってひと月、弾む気持ちを体いっぱい表現している子もいれば、まだまだ不安げな子もいます。「はじまり」にはいつも期待と不安が入り混じります。今月の保育主題の聖書の言葉は「はじまり」にかかわる有名な一句です。

「初めに、神は天地を創造された」という聖書の冒頭におかれている言葉から始めて2章4節まで創世記には「天地創造の物語」が記されています。この物語が書き記されたのは今からおよそ2500年前、人々はそれまで語り伝えられてきた物語を文字に刻みました。背景には人々が経験した敗戦による破局があると言われます。

この後に語られる「地は混沌(こんとん)であって、闇が深淵(しんえん)の面(おもて)にあり、神の霊が水の面を動いていた」という言葉がそれを暗示しています。ここで言われる「混沌」はすべてが覆された無秩序な状態をさします。「深淵」は川や湖や海のとても深い所のことです。「神の霊」はこの場合、台風のような激しい暴風のことです。いずれも大きな危機、不安に関わります。自分が今どこにいるか、何が起こるのか、これからどうなるのかそれが全くわからないとても恐ろしい現実。足元には恐ろしい深淵が口をあけ、激しい風が吹き荒れているような混乱、絶望の真只中に自分達がいる。人々はそれを「混沌」「闇」「深淵」「神の霊」という言葉で表現します。

そのように多くの人が絶望し打ちひしがれる中にあって、ごく僅かな人々ではありましたが、いや違う、決してそうではない、世界は混沌でも暗黒でもないと考える人がいました。自分たちが昔から聞いてきた天地創造の物語に希望を見出した人々です。彼らは「初めに、神は天地を創造された」という一句に救いを見出し、続いて記される「光あれ」という神の言葉に希望を抱きます。 

神様が世界に向けて語られる一番初めの言葉。 それは「光あれ」です。 

神様は発言し、行動し、闇に光を輝かせる。だから世界は決して望みも救いもない闇ではありえない。天地を創造された神様はこの世界に向けて「良し!」とさえ言いきられる。創造主である神様がそうおっしゃるのだからこれ以上に確かなことはない。私たちには希望があり、世界には未来がある。神様ご自身の力強い言葉と行動が私たちを支え生かす。それを信じて現実に向きあい生きて行く。これが天地創造の物語を書き記した人々が伝えたい思いです。 

 希望を胸に弾む気持ちで始めた日々も時に色褪せ失望をもたらします。辛い出来事に涙を流し、悔しさに唇をかみしめ、失意の時を過ごすこともあります。しかしその中にも神様は共にいて下さいます。「初めに、天地を創造された」神様の御腕の中に私達はいます。このお方が「光あれ」と仰って私達を見守り導いてくださいます。「夕べがあり、朝があった。第一の日である」と聖書はこの後続きます。確かに失意の夜があり、悲しみの闇はあります。しかし明けない夜はありません。どんなに激しい雨を降らせる厚い雨雲の上にも青空は広がっています。この空の下で、すべてのものの創り主である神様の恵みによって私達は今日生かされています。

園長 大木正人

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