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カテゴリ:全体のお知らせ|園長通信 投稿日:2016/04/30

平和の福音を告げる準備を履物としなさい。エフェソの信徒への手紙6章15節(2016年1月)

「平和の福音を告げる準備を履物としなさい。」エフェソの信徒への手紙6章15節

明けましておめでとうございます。イエス・キリストがお生まれになった(とされる)年から数え始められた暦も2016年を迎えました。今年もよろしくお願いいたします。

新年1月の保育主題の聖書の言葉は新約の「エフェソの信徒への手紙」から、とられています。宛先の「エフェソ」は都市の名前です。手紙が書き送られた紀元2世紀頃はエジプトのアレキサンドリア、シリアのアンテオケと並ぶ地中海東部三大都市でした。エフェソにあったアルテミス神殿は、世界七不思議のひとつともされました。帝国の都ローマと東洋を結ぶ海陸路の接点エフェソはアジア州の首都として政治、商業貿易、宗教上の要地でした。ローマ帝国の軍事的拠点でもあったエフェソには駐屯地が置かれ軍人が闊歩(かっぽ)していました。その現実を見据えながらこの手紙はエフェソにいる仲間達に「平和の福音を告げる準備を履物としなさい」と告げます。前後にはこうも記されています。

神の武具を身につけなさい。立って真理を帯として腰に締め、正義を胸当てとして着け、平和の福音を告げる準備を履物としなさい。なお、その上に信仰を盾として取りなさい。…(中略)…救いを兜としてかぶり、霊の剣、すなわち神の言葉を取りなさい。

「帯」「胸当て」「履物」「盾」「兜」「剣」。これらは軍人が身に着けていた「武具」です。それを踏まえて著者は記します。ローマ帝国の軍人は敵を倒し、命を奪い、捕虜を奴隷とすることで帝国の支配を拡大強化して繁栄を得ようとする。そのために彼らは堅牢(けんろう)強固(きょうこ)な武具を身に着ける。しかし私達はそうしない。剣や武器によってではなく、神様が一人ひとりの命を育み、その尊厳を重んじておられることを信じて、それを重んじる。そのために真理と正義と福音を、信仰と神の言葉をこそ私達は身に着け、心に記して日々を生きる。「平和の福音を告げる準備を履物とし」、とはその思いのあらわれです。人々に喜びを与え、平和をもたらす福音は、人々が共に生きることを志し、互いに助け合いつつ歩む一人ひとりの日々の積み重ねによって実現する。そこに私達の希望があり、未来があります。

 私の手元に「難民を助ける会」というNGOが作ったA Farewell to Small Arms.と記されている1枚の絵ハガキがあります。そこにはこんな一文があります。

 小型武器とは、自動小銃など1人またはごく少人数で運搬、操作できる兵器の総称。犠牲者は毎日平均1,400人余り。10歳未満の子どもまでが戦場にかり出されている。世界中で赤ん坊から高齢者まで12人に一人が小型武器を持っている。過去10年間で200万人もの子どもたちがこの武器で殺害され、その何倍もの人たちが重傷を負っている。約1分に1人が犠牲になっている。世界中に出回っている小型武器は推定5億個以上。

この悲しい現実を乗り越えるために、信じて共に歩むことから形作られる真の平和を祈りたいと思います。「平和の福音を告げる準備を履物とし」て歩み出しましょう。

園長 大木 正人

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