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2020年04月13日

 学生生活 教育・研究  

緊急事態におけるチャペルメッセージ(1)配信

 

「苦難(患難)から希望へ」

山梨英和大学 学長 菊野一雄

 

学生の皆さん、教職員の皆さんへ

 

4月も第3週に入り、例年なら、授業やチャペルアワーなどが開始され、キャンパスは賑わいを見せているはずでした。しかし、私たちはいま、新型ウイルスの感染拡大を前にし、4月7日には「新型コロナ緊急事態宣言」や「文部科学省高等教育長の通達」などが出され、自宅待機を余儀なくされることになりました。

 

この未曽有の世界的危機の中で、山梨英和大学では、4月3日に「緊急クローズ」を宣言しましたが、私たちはこの危機を、本学の建学の精神である「敬神・愛人・自修」の中でも、特に「自修」を見つめ直す良い機会であると信じ、前向きに対応して行きましょう。

 

本来でしたら、火水木の朝に礼拝を伴った講話を聴き、賛美歌を歌うチャペルアワーが開催されるはずでしたが、今年は緊急事態宣言が解消されるまでの間は、月金にポータル(学生の皆さん)、メール(教職員の皆さん)、ホームページなどを通じて、このような形でメッセージをお送りすることになりました。

新約聖書「ローマの信徒への手紙」の5章3~4節に「わたしたちは知っているのです。苦難(患難)は忍耐を、忍耐は練達を、練達は希望を生むということを。」と書かれています。我々はこの未曽有の「苦難(患難)」の中で、神様のご加護のもとに、「希望」に向かって、手に手を取り合って前に進んで行きましょう。

 

 

 

『愛と信頼の距離』

山梨英和大学 宗教主任 洪 伊杓

 

だが、あなたがたが散らされて自分の家に帰ってしまい、わたしをひとりきりにする時が来る。いや、既に来ている。しかし、わたしはひとりではない。父が、共にいてくださるからだ。これらのことを話したのは、あなたがたがわたしによって平和を得るためである。あなたがたには世で苦難がある。しかし、勇気を出しなさい。わたしは既に世に勝っている。(ヨハネによる福音書16章32節~33節)

 

はじめまして。この4月から山梨英和大学の宗教主任として赴任しました洪伊杓(ホン・イピョ)です。

 

キリスト教の暦では、ちょうど昨日の4月12日(日)は、イエス・キリストが十字架上での死から復活を果たしたことを記念する復活日(イースター)でした。今、新型コロナウィルスのため全世界が大混乱の中、「復活」の希望はどこにあるのでしょうか。3月末にここ山梨にやってきた私は、誰もいない部屋に一人座り、孤独であったイエスさまを思い浮かべました。しかし、イエスさまは決して独りではないとおっしゃいます。父である神様が共におられるので、苦難の中でも平安を得ることができると。わたしたちは今「社会的距離(social distancing)」をとりながらウィルスから互いを守ろうとしています。高速道路で安全な車間距離(safe distancing)が互いの命を守るように。わたしたちは今、一時的に危険な高速道路を走っているのかもしれません。

 

キリスト教において、礼拝はイエスさまの受難を共にする行為です。社会的距離をとるというつらい行いは、他者をウィルスとみなすならば、分断、孤立、敵対を表します。しかし、この苦しみが他者の命を守り、生かす行為とみなした時、苦難を克服し共同体を回復する尊いイエスさまの教えを実践することになるでしょう。心の持ち方が大切な時です。

 

レバノンのクリスチャン詩人であるハリール・ジブラーンは、「親しい者と共にいる時でも距離を置け。風をあなたがたの間で躍らせろ。…共に立て。しかし、近づきすぎるな。会堂の柱は離れ離れに立ち、樫と杉は互いの影の中で育つことはない。」と謳いました。この困難な時期に、わたしたちは互いに距離を置きますが、心はつながっています。これが「愛と信頼の距離」です。コロナウィルスは一時的に体に宿りますが、互いに信じあう人々が築く社会的免疫の連帯の前では無力です。わたしたちは勇気を出して、互いの「ワクチン」となり、自身と隣人を守りましょう。「世に勝っている」イエス・キリストが共にいらっしゃいます。

 

 

 

 

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