幼保育連携型認定こども園山梨英和こども園

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「正義は国を高くし、罪は民をはずかしめる。」 箴言14章34節(2016年2月)

「正義は国を高くし、罪は民をはずかしめる。」箴言14章34節

今月の保育主題の聖句は旧約聖書の箴言(シンゲン)からとられています。箴は「針」という意味で鍼灸の「鍼」に通じます。ですから箴言とはチクリと刺す言葉、信仰を土台とする生活の中で伝えられた古代イスラエルの知恵の言葉が集められた格言集です。その中には現代の感覚からしたら首を傾げたくなるものもありますが、神を畏れることから始まる知恵の大切さを語る箴言には貴重な教えがたくさんあります。

 今月の箇所で「正義」と訳されているのはツェデクというヘブル語です。この単語をプロテスタントとローマカトリックが協力して翻訳した新共同訳聖書は「慈善」と訳しました。すなわち「慈善は国を高め、罪は民の恥となる。」標題は口語訳によります。

 新共同訳が採った「慈善」という考えは示唆に富んでいます。その国の偉大さは領土の広さや軍隊の強さや経済力ではなく〈正義〉の実現にある。そしてそれは困難に直面して悩み、苦しんでいる人達を助ける〈慈善〉、慈しみを大切にしているかどうかにかかっている。そう気づかせてくれるからです。国の基は一人ひとりの人間です。そうだとしたら私達自身が正義・慈善としてのツェデクを大切にしているかどうかということが大事になってきます。

 しかし聖書は、私達がツェデクを実現できる正しい者でないことも知っています。私達が形作る「国」が人間の尊厳を傷つける「罪」に染まることがあるからです。戦争や貧困、不平等はその一例です。正義の名のもとに犯される罪、民がはずかしめられる過ちを断ち切り、乗り越えるために、私達はどうしたらよいのでしょうか。

 思い出すのが、昔、キリスト者のアンリ・デュナン者達が始めた運動を整えて、今日の赤十字運動の基礎を固めたジャン・ピクテが言った「人道の実現を阻む4つの敵」という言葉です。利己心、無関心、認識不足(無知)、想像力の欠如の4つ が人道の実現を阻む私達の心の中にある障害だと彼は言いました。これらは聖書が語る「罪」の具体的な姿です。ただ自分の思いだけを貫こうとする利己心、周囲への無関心、差別と偏見を生み出すもととなる対象への認識不足、そして人として大切な想像力の欠如。これらは自分自身も他者もはずかしめ、貶め、傷つける。逆にそのことに気づいて他者に心を寄せて慈しみ、人間の尊厳を重んじる正義を実現しようとするとき、一人ひとりを大切にされる神様の思いは果たされる。そのために大切なのは、自らのありようを謙虚に振り返り、立ち止まり、他者に思いをはせる祈りです。「大切」という日本語は〈押さえきれない気持ち〉を表す「切(せつ・せち)」からきているそうです。切ない自分の置かれた苦しい立場でのつらくやりきれない気持ちから発する願い求めとしての祈り。それを大切にしたいと思います。

昔、キリスト教が初めて日本に伝えられた時、神様の豊かな愛を示すアガペーという言葉は、「お大切」と訳されました。神様にとっても私達にとっても大事なのは一人ひとりを「大切」に思う気持ちであり、それを願う祈りです。

園長 大木 正人

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