地はお造りになったものに満ちている(詩編104編24)2023年11月保育聖句
『 地はお造りになったものに満ちている 』
主よ、御業はいかにおびただしいことか。あなたはすべてを知恵によって成し遂げられた。地はお造りになったものに満ちている。 (詩編104編 24節) |
朝晩は肌寒く、やっと秋らしい気候になってきました。10月初旬に実施されました各園の運動会には、多くの皆様がご来園くださり、子供たちに大きな歓声を送っていただき、心より感謝いたします。運動会が終わってからも、子供たちは毎日玉入れ、綱引き、リレー、ダンスなどを笑顔で楽しんでいます。そこには、子供たちが勝ち負けよりもみんなで体を動かし、みんなで楽しむ遊びの本当の姿があるように思います。
11月はこども園では収穫感謝祭を実施します。収穫感謝祭は、アメリカ合衆国、カナダなどでは祝日として国中で、収穫を感謝する日に定められています。収穫感謝祭の始まりは、17世紀イギリス(スコットランド)で国王の迫害を受け、苦しんでいた一部の清教徒が、メイフラワー号でアメリカのマサチューセッツ州プリマスに渡りました。しかし、1620年は、気候的に非常に厳しく食べるものもなく大勢の清教徒たちが餓死しました。新天地での農業の知識もなく途方にくれる清教徒たちでしたが、それを救ったのが先住民族であるワンパノアグ族でした。ワンパノアグ族は、イギリス人にこの地で栽培に適しているトウモロコシの栽培の仕方などを教えました。そして、翌年多くの作物を収穫できたことから、ワンパノアグ族を招き、共に収穫を感謝する礼拝を行いました。(イギリス人の入植は、先住民族にとっては苦難の歴史の始まりでした。)
いまでも、高温が続いたり、雨が降らなかったり、台風などによって農作物の収穫は大きな影響を受けています。農作物だけではなく、天候の異変は漁業にまで深刻な影響を与えています。いままで、秋の味覚の代表的なものであった秋刀魚(さんま)が不作で、北海道の釧路では秋刀魚の初セリが行われ、1匹1万円で小樽市内の鮮魚店が競り落としたというニュースが話題となりました。1万円の秋刀魚を買って食べたのは、どんな人なのでしょうか。秋の味覚が、私たちの食卓から消えていくのはとても寂しい限りです。
山梨県出身の大村智先生は「綿虫の寄生によって引き起こされる感染症に対する新たな治療法に関する発見」によって、2015年ノーベル生理学・医学賞を受賞しました。先生は講話の中で自分の偉業を「全て微生物がやっている仕事を勉強させていただいたりしながら今日まできている」と述べています。この言葉は、御自分の研究の成果を自分の実績だと考えるのではなく、そこには自然に対する畏敬の念と感謝の気持ちが表現されています。自然に対する畏敬の念や感謝の気持ちは、山梨英和こども園では神さまから私たちに与えられる恵みであると考えます。
われらたがやし 種をまけど 雪霜おくり 雨をそそぎ 日にてあたため かぜを吹かせ そだてたもうは ただ神なり よきものみな 神よりきぬ ゆたけき恵みを ほめ称えよ (1954年版の讃美歌422番) |
この讃美歌は、収穫感謝の時によく歌われる讃美歌で、私がとても好きな讃美歌のひとつです。人は畑を耕し、種を蒔いて農作物を育てようとしますが、雨を降らせたり、太陽の光を当てたりして育ててくれるのは神さまであり、私たちに豊かな恵みを与えて下さる神さまに感謝しましょうという讃美歌です。
毎年11月の収穫感謝祭では、各園の子供たちが家庭から持ち寄った、野菜や果物を前に全員で感謝の礼拝を行います。そして、その野菜・果物に子供たちが作成した感謝のメッセージを添えて、普段お世話になっている地域の方々を訪問します。多くの施設で、毎年収穫感謝のメッセージカードを1年間貼って下さり、新しいカードを持って行くと貼り替えてくれています。このように、子供たちの訪問を楽しみにしていてくれている地域の方々、施設があることはとてもありがたいことです。
園長 石川 健