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カテゴリ:園長通信 投稿日:2024/03/01

主よ、あなたの道をお教え下さい(詩編86編11節)2024年3月保育聖句

『 主よ、あなたの道をお教えください。』

主よ、あなたの道をお教えください。わたしはあなたのまことの中を歩みます。御名を畏れ敬うことができるように一筋の心をわたしにお与えください。(詩編 86篇11節)

 

 あっという間に3月を迎え、昨年4月にスタートした園での生活も節目を迎えようとしています。子供たちの成長も素晴らしく、感動的です。“ハイハイ”していた子供が、今では園内を走り回り、言葉をしゃべれなかった子供が、今はとてもおしゃべりになり、いろいろ話しかけてきてくれます。

 また、3月は別れの時でもあります。かえで組(年長組)の子供たちは、あと少しでこども園を巣立っていきます。残りわずかな園での生活1日1日を大切に過ごしてほしいです。

 さて、武道などには「道」という言葉がつきます。柔道、剣道、合気道、弓道などです。また、日本の伝統的な芸にも、茶道、華道、香道などがあります。そして、それらに共通しているのが作法、礼節を重んじるという点です。「守」・「破」・「離」という言葉を聞いたことがありますか?私は、小さき頃から剣道を習っていたので、この言葉をよく耳にすることがありました。この言葉は、わび茶を完成させた千利休が残した次の歌の中に出てきます。

規矩作法、りつくして、るとも、るるとても、本を忘るな

 

規矩作法(きくさほう)とは、茶道の行動の規範や基準を表します。「守」とは、師匠の教えをひたすら守り、確実に身に着ける段階を指します。「破」とは、師匠の教えに自分なりに良いと思うものを加え、発展させる段階です。「離」では、師匠から離れ、独自の新しいものを生み出し確立することを意味します。そして、利休は最後に「本を忘るな」と述べています。つまり、どんなに優れた技術、高い技術を習得しようと、本となる基礎基本を忘れてはならないと教えてくれています。

 子供たちは、ご家庭やこども園でまさに人としてのルールや生き方、その他いろいろなことを教えられ、学ぶ段階にあります。まさに「守」の段階です。でも、教えられたことはわかっていても守れなかったり、少しやり方を変えてやろうとして失敗することもたくさんあるかと思います。私は子供の頃、言われた以上のことをして褒められようと自分なりにアレンジをして頑張るのですが、ことごとく裏目に出て、いつも「どうして言われた通りにしないの?」「いうことを聞かないから失敗するんだ。」と毎日のように親や先生から言われ続けていました。でも、これは発達にとってとても大事なことです。子供は子供なりに考えてより良い行動を実践しようとします。これが、「破」の段階だと思われます。そんな時、ただ叱るのではなく、どうしてうまくいかないのかを一緒に考えてあげて下さい。これが、「本を忘るな」で基本に立ち返ることになります。結果ではなく過程を振り返ることが大切です。私が通っていた剣道の道場には、正面に「反省は向上なり」という言葉が掲げられていました。失敗しても、基本に立ち返り反省することが、自己の向上につながるということです。

 今月の聖句の「主よ、あなたの道をお教えください。」で聖書の言うあなたの道とは、神さまが私たちに示して下さる御心、道理のことであり私たちが普段考えている道とはだいぶ違います。私たちは、日常生活の中のさまざまな場面で、人と対立したり、困難に直面したりします。そしてその解決のため最も重視するのは、何でしょうか?結局最終的には、自分の利益を最優先してしまいます。これは、決して間違ったことではありませんが、主が私たちに示された道ではありません。なかなか主の歩もうとする道を歩むことは、私たちには簡単なことではありません。

 1年の終わりにあたって、自分の「道」を懸命に歩もうとする全園児、卒園し小学校という新たな道に進もうとするかえで組の子供たちの歩みを心から応援し、祝福します。

園長 石川 健

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