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カテゴリ:全体のお知らせ|園長通信 投稿日:2019/02/01

喜ぶ人と共に喜び、泣く人と共に泣きなさい。(2019年2月保育主題)

喜ぶ人と共に喜び、泣く人と共に泣きなさい。(ローマの信徒への手紙12章13節)

 

  2月の保育主題の聖句について考えていて、ふと思い出した言葉があります。昔ある本で知った「シャーデンフロイデ(有害な喜び)」というドイツ語です。日本語でいう「他人の不幸は蜜の味」という感じの言葉。この言葉をさしてある哲学者は「どこか薄暗い自己満足、妖しく甘い快感」と記しました。私達の心の奥底には「喜ぶ人と共に喜び、泣く人と共に泣く」ことを阻むどうしようもないエゴイズムがあります。どうしたら私達はそれを乗り越えることができるのか。そんなことを思いながら読んでいた『保育の自由』(岩波新書)という本の中に、ある保育園長の文章が紹介されていました。年度初めに記された保護者宛の文章とのことでした。少し長いのですが引用します。

 

ここは、自由でおおらかな、子どもが主人公の保育園です。(中略)お兄さんがいてお姉さんがいて、妹がいて弟がいる保育園。朝から夕べまで、子ども達が精いっぱい生きている姿がたくさん詰まった場所。遊ぶことが大好きで子ども達の話に心を傾けて、じっと聴いてくれる先生達がいるところ。子ども達の瞳が輝く瞬間のために、もうひとつのお家のような居場所をつくっていきたいと私達は日々奮闘しています。

(中略)

私たちは子ども達のために次のことを大切にし、伝えていきたいと思います。ここは、安心できる場所であるということ、自分の気持ちを出していいということ、自分の歩幅で歩いていいのだということ、誰かがいつも見ていてくれる場所だということを。ご家庭ではそれぞれの価値観や教育観や理想像を持ってお子さんを育てていらっしゃることでしょう。けれどもこれだけは、私達とご一緒にお願いしたいことがあります。それは、子ども達を「人とつながることのできる人、人と喜び、悲しみを分かち合える人」に育てていくということです。平和への道は子ども達を育てることから始まるのです。

(東京YWCAまきば保育園 大沢千佳子園長『まきばのかぜ』2016.4)

読んでとても励まされました。ここに書かれていることは、山梨英和のこども園に関わる私達が祈り願っていることと同じだからです。文章の最後で「平和」に言及されるのは、その園が平和への思いをひときわ強く持っているYWCAというキリスト教団体に関わっているからでしょう。この点でもキリスト教精神による保育活動を行う私達に似ています。私達もまた子ども達が「自分の気持ちを出し」「自分の歩幅で歩く」ことで他者と出会い、さまざまな経験を積み重ねながら「人とつながること」や折り合いをつけることの大切さを味わい、学びつつ成長することを願っています。

自分の弱さやわがままを乗り越え、「喜ぶ人と共に喜び、泣く人と共に泣」ける、真の「平和を実現する人」は、そうした中で育まれると信じます。私達のまん中には平和の主であるイエス・キリストがおられ、このお方が見守り、導いてくださる。そのことを信じ、そのみ言葉を心に記して行くとき、私達は、シャーデンフロイデという、あの薄暗い自己満足のエゴイズムから解放される一歩を刻める違いありません。

園長 大木 正人

 

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