わたしは雲の中に、私の虹を置く。(創世記9:12-13)2023年8月保育聖句
『 わたしは雲の中に私の虹を置く 』
更に神は言われた。「あなたたちならびにあなたたちと共にいるすべての生き物と、代々とこしえにわたしが立てる契約のしるしはこれである。すなわち、わたしは雲の中に虹を置く。これはわたしと大地の間に立てた契約のしるしとなる。(創世記 9章12~13節) |
1945年7月6日深夜から7日未明にかけて、甲府はアメリカ軍の空襲を受け、多くの犠牲者を出しました。山梨英和幼稚園もこの空襲で園舎が焼失してしまい一旦閉園となり、1949年に再開しました。あれから78年たちましたが、その当時の惨状は戦争を知らない世代にきちんと引き継がれているのでしょうか。平和を考える上で大切なことは、身近な事実から学ぶことです。
今年も甲府YWCA主催の「ピースフェスタ2023」が県立図書館で開催されます。テーマは、―世代を超えて考えよう!平和・人権・環境―です。開催日は8月7日(月)~9日(水)です。親子で平和について考えるとても良い機会ですので、可能な方はぜひ県立図書館へ足を運んでみて下さい。
先日、私が以前ある中学校に在職していた時の生徒から突然連絡があり、22年振りに5人ほどの生徒と再開しました。この学年は、かなり手のかかる大変な学年でした。そして、集まった生徒の2人が今度結婚することになったと報告がありました。2人とも中学校1年生の時は、私が担任しました。女性は、学年の中でもリーダー的な存在で、まじめで、勉強もできました。男性の方は、結構大変な生徒でしたが、人間的に魅力のある生徒で、他の生徒からの信望もありました。その生徒はまじめに勉強すればできると思うのですが、まじめに学習に取り組もうとはしませんでした。しかし、高校進学すると急にやる気のスイッチが入り、人が変わったように目標を持って頑張ったそうです。その目標とは、中学校の社会科の教員になることだったと聞き、とても驚きました。しかし、結局教員への道は断念し警察官になったということを聞き、またまた驚きました。何十年前に蒔かれた種は、着実に育っていたのだなということに教育現場を離れて久しぶりにとても感動的な出来事でした。
今月の聖句は、聖書の中では比較的広く知られている「ノアの箱舟」の話しです。人間が互いに憎しみ合い、殺し合い、暴力、汚職、不正、略奪、などが日常化し、堕落した人間に神さまは心を痛め、人間を創ったことをとても後悔しました。そして、一度人類を滅ぼし世の中を作り変えることにしました。そんな中、ひたすらまじめに働き、神さまを心から信じていた正直で無垢なノアは、神さまが全人類を滅ぼす計画を聞かされ、木で大きな箱舟を作るように命じられ、船を作り始めました。それを見た堕落した人々は、「陸地にあのような大きな船を作るなんて、ノアはとうとうおかしくなってしまった。」とバカにして笑いました。しかし、ノアは神さまの仰ったことに疑うことなく従いました。箱舟が完成すると今度は地上のあらゆる種類の生き物のオスとメスを船に乗せるよう神さまから命じられました。全ての動物、ノアの家族が乗り込むと、神さまは40日、40夜雨を降らせ続けました。そして、水がひくと神さまはどんなことがあっても二度と人類を滅ぼすことはしないとノアに約束しました。その平和のしるしとして、神さまは雲の中に虹を置かれました。虹は、平和を表す神さまの約束のしるしです。
私たち一人一人は、顔も違い、性格も違い、考え方も行動も違います。しかも、一人一人が、違った輝きを持つ大切な存在です。にもかかわらず、時として人との違いは(個性)は絶対多数の集団には受け入れられず、差別や偏見にさらされることがあります。しかし、神さまは例外なく私たち一人一人を豊かに祝福して下さっていることの証として虹を置いて下さいました。人間をはじめとする全ての生命との間に結ばれた神さまとの約束の虹を私たちはしっかりと理解していくことが大切だと思います。
園長 石川 健