イザヤ書43章4節 『私の目にあなたは価高く貴い。』
今年度私はYWCAひまわり部の顧問をしています。そこで、今日はYWCAに関することをお話ししたいと思います。また、YWCAのメンバーが社会の問題にどう対処していこうとしているかお話ししたいと思います。
YWCAは《Young Women’s Christian Association》の頭文字をとったもので、日本語では
キリスト教女子青年会といいます。19世紀の半ば(1855年)、
ロンドンにおいて創立されてから約160年の歴史があります。1894年に世界組織となり、現在はキリスト教を基盤に世界中の女性が平和な世界を実現できるようにという目標を掲げた120か国約2500万人の会員を持つ国際NGOです。日本では
1905年に(明治38)カナダ人の女性によって創立され、
キリスト教信仰による女性の
社会教育・
社会奉仕運動を行ってきました。初代の代表は津田塾大学創立者の津田梅子さんです。NHKの朝ドラで注目された広岡浅子さんは日本YWCAの中央委員を務め、その後に大阪YWCAを創立しました。
現在日本YWCAは24地域と36の中高YWCA からなりたっています。中高生は全国で725人いて、英和のYWCAもその中に所属しています。姉妹校の東洋英和では創立当初、王女会というのがあって、後の生徒会やYWCAの元になったそうです。薬袋元校長先生に伺ったところでは、山梨英和でも創部の年ははっきりしないそうですが、約100年の歴史はあると思われます。先生が生徒の頃、他のミッションスクールでは生徒会と並列で全員がYWの部員という所があり、ミッションスクールにおけるYWCAの活動は当然の活動とみなされていたのではないかということです。
さて、現在山梨英和のYWCAひまわり部は、通年的には在宅のご老人にお弁当を配るボランティアを週2回、聖書研究会及びカード作り等の作業会を週1回行っています。8月には甲府市のふれあいチャレンジフェスタや甲府YWCAのピースフェスタのお手伝い、そして中高YWCAのカンファレンスがあります。
昨年の8月は関東地区のキリスト教主義女子中高生徒が集まり研修を行いました。主題は「生きるとはーハンセン病療養所の歴史に学ぶ」でした。生徒達は各校の発表に備えて、春から少しずつ準備しました。山梨には、小川正子さんという医師がハンセン病患者さんの治療にあたり、著作を残し、春日居に記念館がありますので、そのことを発表に加えました。ハンセン病については知らない人はいないかもしれませんが、皮膚と神経を侵す慢性の感染症で、感染力は非常に弱いので、治療法が確立された現代では完治する病気です。しかし、治療法が近年になるまで発見されなかったので、患者さんは昔から信じられないくらいの差別と迫害を受けてきました。感染したと分かると強制収容され、住まいは真っ白になるくらい消毒され、断種や堕胎させられ、名前を変えられ、死んでも家に帰れないという扱いをされたそうです。
この重く長い歴史を知って、生徒達が学んだことは、差別と偏見が無知から起こること、だからこそ真理を求め真理を伝えていくことが大切だと言うこと。また人の痛みを知り、愛を持って周りの人を見て、思いやりを行動に移すことの大切さでした。先日は、リユニオンという再開の会があって他校の生徒達とカンファレンスの振り返りをしたり、活動報告をしたりする機会があり、お互いに同士として刺激をもらったり、勇気を与え合う貴重な時を持つことができ感謝でした。
さて、世界に目を向けて見ますと、目を背けたくなること、耳を覆いたくなることがたくさんあります。日本の比較的平和な環境の中では分からないさまざまな問題が存在します。特に女性が抱える問題は深刻です。例えば、暴力・性的虐待・強制的な早婚・(ジェンダー)男女の性の不平等・搾取・人身売買・性奴隷やその他の虐待は現実に起こっています。そんなこと私達には関係ない、知らなくてもいいことをなんで無理に知る必要があるの?と思う人もいるでしょう。でも、日本の女性も、つい100年前には古い慣習(しきたり)の中で縛られていて、夕焼け小焼けの「15で姉やは嫁に行き」と言う歌詞にもあるように低年齢での結婚、妊娠、出産、家事等の重労働、女に教育はいらない、選挙権なし、等の社会的に低い地位の差別的な状況の中にあったわけですが、宣教師の先生方の指導やキリスト教の広まりなどで、社会的な地位を獲得してきたという歴史があるのです。宣教師の先生方は、遠くアジアの小国日本に来て、その生涯を捧げて、そのような状況は人権を軽視したことだと気づかせ、改善する必要性を悟らせてくれ、教育をしてくれたのです。
現在、若者の貧困も大きな問題で、今日世界の若者18億人のうち約半数が1日2ドル未満で暮らしており、1億人以上 が学校に通っていないという状況だそうです。また、一日6,800 人に上るHIV感染者の約40%が若者だというのです。
こうした問題にフタをして無関心ではいられないのではないでしょうか。
日本人も、ジャーナリストとして、医療関係者として、青年海外協力隊の一員として、直接そのような問題に直面する方々もいらっしゃいます。世界YWCAも暴力やHIV感染の根絶に取り組んでいます。
このような山積する問題を解決するには、今お話しした援助の他にはどのようなことが必要でしょうか。皆さんご存知のマララ・ユスフザイさんもノーベル平和賞の受賞スピーチ等で繰り返しているように、まずは教育支援が必要だということです。「少女を教育することは、国を教育することである」という諺がありますが、それは、女性と少女への教育は、国の一番小さい単位の、より良い家族や地域社会を作ることになる、ひいては周りの人々の意識を変えることになるということです。女性と少女がリーダーシップを発揮できるように多くの教育やトレーニングの機会が必要なのです。
直接関与できなくても、私達が心得ておかないといけないのは、先人達がしてきたように、女性や弱い立場の人の生きる権利が守られているかしっかりと見守り、時には監視していくことにあると思います。その確かな目を持つために、できる限り深く広く学ぶことが必要ですね。そして、平和を作り出すためにYWCAのような運動を地道に行っていくことにあると思います。
生徒の皆さんも機会があったら率先してボランティア活動に参加してみることが良いのではないかと思います。ボランティアは戸惑いやためらいもあって、なかなか急にはできないかもしれません。だからこそ、若い内に先輩や周囲の方達から実際の場で教えて頂くことが大事です。その経験を通して、一人一人が神様にとって大切な存在であり、必要な存在であるという基本的な精神や具体的な活動方法を学ぶことができると思います。そうしていけば、平和への意志が固められ、必要な時に自然体でお手伝いができるようになると思います。そのような人が将来世界を担っていくのでしょうし、皆さんにそうなってほしいと願っています。