1つ前のページに戻る

2017.3.01 / 学校生活 /

高等学校卒業式式辞

山梨英和高等学校 卒業式式辞

校長 三井貴子

 

 3年生の皆さん、ご卒業おめでとうございます。この懐かしい学舎に別れを告げて、これから新しい道に進み出そうとしている皆さんを、心から祝福をもってお送りしたいと思います。また、この3年間、あるいは6年間、陰になり日向になってお嬢様方を支え、その成長を見守ってこられました保護者の皆様、本当におめでとうございます。これまでの山梨英和に対するご理解とご協力を心より感謝申し上げます。

 また本日の卒業式にあたり、ご多忙の中、多くのご来賓の方々をお迎えし共に卒業式をお祝いいただけますこと、心より感謝申し上げます。

さて皆さんは、今卒業の時を迎えて、山梨英和での日々をどのように振り返っていらっしゃるでしょうか。皆さんは、最も人数の少ない学年でありましたが、様々な新たな試みに挑戦した学年でした。

第一に、社会構造が激しく変化していく時代にあって,まだ誰もが経験したことのなかったICT教育の先陣を切ったのが皆さんです。山梨英和がiPadを教具として導入した一期生が皆さんです。皆さんはもちろんのこと,校長である私も含めて先生たちも,誰もが手探りで進めていった新しい形の教育が,今、世の中の新たな教育の流れとなりつつあります。皆さんの最新機器に対する習得力は非常に敏速で,瞬く間に我々教師を抜いて行きました。そして、iPadというツールを活用して、新しいものを次から次へと創造していきました。iPadの導入により、論理的に考えてまとめ、人に伝えるためのプレゼンテーション力も驚くほど向上しました。

昨年9月にAppleのCEO(最高経営責任者)であるTim Cook氏が世界に向けてプレゼンテーションを行いました。Appleは教育にも非常に力を入れており、Apple for Educationの中でSwift Playgroundsというプログラミング教材を紹介しました。これを活用する世界中の学校名が大スクリーン一面に映し出され、日本の学校としては唯一、山梨英和中学校・高等学校がその中にありました。漢字で表記されたため、ひときわ目立ち「山梨英和とはどのような学校なのか?」と話題になったほどでした。

また、昨日発売されたMac FanというICT系の雑誌の4月号には「山梨英和では『Swift Playgrounds』のプログラミングを英語の授業に使う。」というタイトルで本校の取り組みが大きく取り上げられています。皆さんが蒔いたICTの種がどんどん進化しています。

Global Studies I・IIの科目を履修したのも、皆さんが一期生です。世界の様々な問題に目を向けながら、自分の課題として研究を進めるこの科目は県内でも初の試みでしたが、ユニークな発想で楽しみながらグループプロジェクトに取り組んでいた皆さんの姿が思い出されます。SSHIIのクラスと合同で山梨県への提言書を作成し、副知事に直接手渡しに県庁を訪問したのも、初めての試みでした。

何事も先陣を切るという事は、多くの苦労がありエネルギーが必要となります。しかし,皆さんのようなパイオニアのおかげで世の中が変わっていきます。例えば、ICTに関して言えば、これからは小学校にもプログラミングの授業が取り入れられることになるでしょう。また、本校が先進的に取り組んでいる探求型の課題研究も、10年後にはこれらが特別ではなく当たり前の学習となっていくことでしょう。今後、社会はさらに激変していくでしょう。いまIoTつまり,すべての物がインターネットでつながる時代になりました。このことは,人々の仕事の内容はもちろんのこと,社会のあり方や社会構造そのものにも大きな変化をもたらします。しかし皆さんは,いかに社会構造が変化しようとも,山梨英和高等学校ではそれに耐えられるだけの基礎的なちからを身につけたのですから大丈夫です。どうか自信を持って歩んでいって下さい。

もう1つ忘れてはいけないのは、皆さんが18歳選挙権を得た一期生であるということです。生徒会を中心に、皆さんはいち早く模擬選挙を実施しました。選挙権を持つということは、参政権を得るということであり、そこには権利に伴う義務と責任が生じるという事です。社会を形成する一員として、新しい時代を切り開く皆さんに期待しています。

山梨英和を巣立つにあたり、2つのメッセージを送ります。1つ目は「山梨英和での出会いをこれかもずっと大切にして欲しい」ということです。まずはじめに神様との出会いです。これからは毎日礼拝をする環境にない人も多いと思いますが,常に身近に聖書・賛美歌を置いておいてください。皆さんを強め支えてくれるはずです。次に山梨英和で育んだ友情です。お互い全く違う道に進んでも,心を許せる仲間の存在は宝物です。2つ目は,山梨英和の校訓である「敬神・愛人・自修」を実践する人になって欲しいということです。皆さんの中には,既に神様によって種がまかれています。そして柔らかい新芽が出はじめています。皆さんは,多彩な才能を神様から与えられています。常に自己肯定感を持って,一歩一歩確実に前進してください。神様は,みなさん一人一人を愛してくださっており,どんな時にもお見捨てになることは決してありません。他者との比較においてではなく,自分らしい「敬神・愛人・自修」を実践していってください。皆さんには,戻れる場所があることを覚えていてください。20年後の自分に向けての手紙を書いていただきましたが,卒業して20年目にホームカミングを行いますので,必ずここに戻ってきてください。そして20年前に書いた自分への手紙を読んでください。その段階でもう一度人生を振り返ってみてください。その時まで,山梨英和高校の卒業生であることに誇りを持って,自分の道を切り開いていってください。

最後に入学式で読まれた聖句で皆さんをお送りしたいと思います。ヨハネによる福音書15章16節「あなたがたがわたしを選んだのではない。わたしがあなたを選んだ。」

皆さんは、神様に選ばれて山梨英和に入学し、その学びを終えて今日卒業します。この事を常に心に留めて、これからの人生を歩んで行ってください。

お一人お一人の前途に,神様の導きと祝福が豊かにありますようにお祈りし式辞といたします。

2017年3月1日

月別
年別