学年礼拝 坂井先生
コリントの信徒への手紙 一 13章4節から7節
皆さんは聖書に登場する人物の中で、好きな人はいますか? 興味を持っている人は?使徒の中では誰が素敵に思えますか? 昨年はクラス礼拝で使徒言行録を読み進めましたよね。その作者がルカだということ、そしてルカが医師であったことを加藤先生が教えてくれました。東野圭吾や渡辺淳一など理系出身の作家だと聞くと読んでみたくなる私はルカに興味を持ち始めました。どうして福音書の作者は4人いるのに使徒言行録をルカが書いたのか?そんなことを思っていました。
もう一人使徒言行録の中で私の心に残った人物がサウロ、パウロでした。何で2つも名前があるの?ややこしいなというのが最初の印象でした。しかし、キリスト教が何故こんなにも世界中に広まっているのか?考えるとその功績は偉大であると感じたのです。イエス様の教えとその後の使徒たちの働き、特に異邦人への伝道者として選ばれたパウロのおかげでキリスト教がここまで全世界に広まっているのだと感じました。今年、皆さんは倫理で世界の宗教についてその起源や考え方を学んでいることと思います。世界中の信者の数でいうと圧倒的にキリスト教が1位です。しかも世界各地にまたがってです。宗教の中で弟子達の活躍が最も大きかったのではないかと感じていました。そんなとき、職員室で回覧されているキリスト教関係の雑誌の広告欄に目がとまりました。
DVDの紹介です。そのタイトルは「パウロ~愛と赦しの物語」です。パウロとルカの友情の物語との説明もついていました。映画鑑賞が大好きな私にとって映像としてパウロとルカについてその物語を見られるというのはとてもうれしいことでした。すぐにネット通販で購入してしまいました。さて、宅配が届き、開封すると本がセットになっていました。タイトルは「パウロ ギリシャ・ローマ世界に生きた使徒」です。作者は牧師先生である岩上敬人(いわがみたかひと)さんです。時代背景とパウロの生い立ち、それから彼の伝道旅行と綴った書簡の意味が詳細につづられている本でした。本が映画化されたとき観る前には本を読んでからと決めている私なので、まずその本を読み切ろうと決心しました。ところがカタカナの多い本、日本史選択者であった私にはなかなか読み進められるものではありませんでした。それでも流す部分も有りながら、頑張って読み切った後、映画を鑑賞しました。ちなみにサウロというのはヘブライ語、パウロはギリシャ語であり、外国への伝道者となってからは広く受け入れられるギリシャ語のパウロを使うようになったことも理解することが出来ました。
さて、この映画の監督はアンドリューハイアットという人です。特典映像の中で彼が語っていたことを紹介します。彼はクリスチャンの家庭に育ち20代で神の声が聞こえなかったという理由で信仰から離れます。映画制作に行き詰まり、将来について悩んでいる時にホテルで神の声が聴こえたそうです。その後も全てが上手くいったわけではなかったが、その経験が転機となりこの映画を作ることにしたそうです。この映画製作にあたり、彼は聖書を唯一の資料として研究し、時代考証に入り、専門家、聖職者などの話を聞いた上で最後まで常に聖書を中心において製作したと語っていました。登場人物達に何を語らせるべきか常に神に問いかけて作り上げた作品だと言っていました。その結果、脚本家でもある彼は、愛と赦しがテーマであることを考えた上で、パウロの晩年を掘り下げローマの牢獄を舞台の中心に置き、物語を進行させました。ローマの牢獄の中でルカに語り、それをルカが書き留めるシーン、これが使徒言行録なのだ、また手紙を手渡すシーン、これがパウロの書簡なのだと新約聖書の文書の意味を私に一つ一つ教えてくれているようでした。
心に強く残った場面があります。キリスト教徒が次々に殺戮され、親しくしていた少年までが殺されたことをルカがパウロに報告した後です。武力で抵抗したいと思っている信徒が現れ、その気持ちがわかるという、まだ迷いのあるルカに対してパウロが「愛は寛容であり、愛は親切です。」愛で戦えと語るシーンです。今日の聖句が語られます。
パウロは何故それほど寛容であり、愛をもって許すことが出来たのでしょうか?
パウロ役のジェームズ・フォークナーが特典映像のなかで説明してくれました。彼が寛容だったのは迫害する側の気持ちが理解できたからだと、自分は過ちを犯していたという贖罪の気持ちからなのだと。神様が彼を異邦人に対する伝道者としてお選びになったことに合点がいきました。
鑑賞後、もう一度事前に読んだパウロについての本を手に取りました。走り読みすると、随分と読みやすくなっていました。さらに3年前に読んだ「3日間でわかる聖書」、2年前読んだ遠藤周作の「キリストの誕生」が思い返され、思わず手に取ってしまいました。点と点が線で結ばれた気分でした。
新約聖書に書かれたそれぞれの文書、福音書の意味、そしてルカが書いた使徒言行録の意味、そしてパウロが異邦人にあてた手紙、それまで、みことばを断片的に読むことがあっても全体像がつかめず、その意味や背景がつかめきれずに、言葉だけをかいつまんでいた私に、神様はその背景を教えて下さった気がします。神様はこうして私に順序だてて、聖書を理解させてくれたのです。
全ては神様が用意して下さっていることを改めて感じます。イエス様の行いを異邦人に広める役目を担ったパウロがいて、全世界に広まり130年前にカナダ人の女性宣教師がこの山梨にこの学校を作ったこと、そして今ここでこうして礼拝を共にしていることはやはり、神様のお導きがあったからだと確信します。
皆さん、英和での最終学年ですね。来年度はそれぞれの場所で歩み始めていることでしょう。その道を神様が用意して下さっているはずです。その道をしっかりと歩んでいくために、悔いのない生活を送って欲しいと望みます。そして神様のご計画の中で愛をもって生きていって欲しいと願っています。





